「宿敵」をトモと呼ぶ 2
「よーしよーし、よく食べろよー」
「……ユウマ」
「おっし、食べたら散歩しに行くか!」
「ユウマ!!」
「……なんだよ」
耳元で叫ばれ、俺はため息をつきながらマオを見る。
「どうしたんだお前、今日は一段と不機嫌だな?」
「…そんなのほっといて僕と遊ぼうよ!」
「そんなのとはなんだ! ……あ、名前考えてなかったな」
「もーユウマ!!」
何故こんなに不機嫌かは知らんが、俺は立って、
「ほらマオ、あそこ行くぞ」
「…もー」
なんかスッゲー残念な表情と共に、俺たちはある場所へと向かった。
そこはあの花畑だ。
俺はこの時のために用意していたバックの中から『フリスビー』を取り出す。
「ふっふっふ………昨日廃車と化したうちの車から持ってきたんだ!」
「あー、だから昨日は珍しく掃除してなかったんだー。パパもいなかったし」
「お、オッサンのことをそう呼ぶとは、きっと聞いてれば泣いただろうな」
「実際昨日口滑らせて泣かれた。……ちょっと気持ち悪いくらいに」
「あー、分かるが優しくしてやれよ」
なんか別の意味でオッサンが泣いてる気がするが、それよりもフリスビーに目を向け、
「じゃ、これを取って来いよ犬!」
「あ、『犬』なのね」
そうして投げたフリスビーを、犬は瞬間駆け抜け、いつのまにかキャッチしていた。
「……幻パネーな」
「…僕だってこのぐらい!」
「張り合うな張り合うな。……っと戻ってきたか」
とフリスビーを渡され、俺はマオに渡す。
「ま、投げてみろよ。たのしーぞこれ」
「……ま、いいけど」
と素っ気ない割に少し笑顔なマオは、
「そーれ!」
と大きく投げた。
すると同じように走った犬は、今度は空中でキャッチ&シュートしてきた。
「のああっと!?」
そしてそれは真っ直ぐマオの顔面に飛んでいき、反射で取った。
そして俺とマオはバッと犬を見ると、犬はマオに向けて「…ふっ」と鼻を鳴らしていた。
「お、落ち着けま––––」
俺の制止を聞かず、それからマオと犬は互いにフリスビーで異次元の遊びをしだした。
最初から目で追えなくなったので木陰から見守っていたが、まあ、そこまで険悪ではないのは分かっていたので傍観者に達することにしてバックからシートをはじめとした色んな物を配置して二人が戻るのを待った。
彼女たちの表情は終わる頃にはすっかり心からの笑顔だったと俺は思う。




