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魔王と勇者に憧れた者  作者: ヨベ キラセス
余談編 壱
24/40

嘘吐きと、天性的な信者 3

 それから一週間がたった。


 ……実際には次の日に飽きて、俺は一通りの事をしながら後は自分で考えるようにと伝えた。

 なお、動いた後に食べるといいって何かで聞いたのでそこを補足して、後は放置してしまったのだが………。



「坊主ぅ!!」

「のあっ!?」

 雑巾絞っていたバケツをこぼし、俺はジトっとその声の主の方を向くが、意外な人物に俺は驚く。

「なんだベンさんかー」

 と和みモードでいくが、

「いいからちょっと来い!」

 なんか怒らせる事した記憶がないが、俺は引かれるまま、引きずられるままベンに付き合わされた。

 ああ、せめてこぼした水は拭きたかったなー。



「……ちょっとまて、誰だあれ」

 連れてこられて庭の影に隠れると、なんか小さいのにかなりガタイがいい子供が現れた。

「…お前、7日前に私の息子に会ってるだろ?」

 一瞬なんのことかわからなかったが、オークで息子なら、もしかしたら……

「……ってあんたの息子なのかよ!? なあ、人間のガキを見本にさせる教育はやめとけって忠告するぞ」

「ああ、お前の強化訓練はすごいもんだったよ」

 そして再び彼を見る。

 すると、そこにオークの集団が囲んでいた。

「な、同族争いか? 止めなくていいのか?」

「黙ってみておれ」

 特に手を出す気がないのかベンはただ見るだけで、俺が出ても仕方ないとわかっているため俺も出なかった。


「おいバク、お前はあの近衛隊リーダーだったベンの息子だろ? なに人間と仲良くしてんだ、アアン?」

「はて、私が誰と仲良くなろうと、誰の元に就こうと、関係ないことですが?」

「種族が舐められるんだよ、わかんねーかアアン!?」


「…まず、俺アイツを下につけた記憶無いんすけど」

「……すまん。冷静沈着なはずだったんだが、時折思い込みが激しい時があるんだ」

「直したほうがいいっすよ、マジで」

 それほぼトバッチリだが、俺は話の行き先が気になってきた。

 最も話の通りなら、そのすごい人が俺の隣にいるし、さすがに息子を見捨てるようなヒトに見えないし––––


「ゴアアアアァァァ!?」


 だが、予想は遥か斜めに飛んでいった。もちろんそれは思考的にも、そして物体的にも。

 なにが起きたか、それは今まで名前を知らなかったバクを見ればすぐにわかった。バクは拳を突き出し、その方向にオークの一体が飛んでいったのだから。

「…….ふっ、ユウマさん直伝のこの肉体、精神、魔力であなた方とお相手いたしますが?」

 しかしすでにオーク集団は解散していた。まあ、その飛ばされた奴が、ゲーム通りの巨大な上に、おそらく全体のリーダー的な奴だったのだろう。

「……あ、父上にユウマさん!!」

 何より殺気だったあの目が、一瞬で7日前の優しげな目に変わったのだから、恐ろしい。

「……お前、実は『導く』線で才能があるんじゃないか?」

「……いや、いらんなその才能」

 冗談まじりに言われるが、俺にはそれが冗談に聞こえず、ただ引きつった笑みしかできなかった。


 俺はせめて切れ味のいい剣で殺して欲しい。殴りは……きっと嫌な痛みな気がするから。


 それと、ちゃんと鍛えたいなら生半可な内容で鍛えないで欲しい。最近じゃそういう漫画や小説だってあるはずだから。きっと、多分………。

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