TOMATO腐
TOMATOは真っ赤だ。
熟してしまえば、この世のものとは思えないほど真っ赤になる。まるで鮮血のようだ。
だから私は、TOMATOが大嫌いだ。
TOMATOは、中身が流動性が高く、噛んだ瞬間ドロりと溢れる。人間のようだ。TOMATOも人間も儚い。
生命あるものとは、儚い運命にあるのだろう。覆せない、不変の真理というものだ。その真理を覆した瞬間、この世界は崩れる。
しかし私は、それを望んでいる。
TOMATOが腐るのなら、人間も腐るのではないか。
生命あるものならば、腐るのではないか。
そう思ったが、すでにこの世の中は腐りきっていた。
中から外までドロドロだ。
こんな世の中に未練などない。