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どこからともなく、怪物が湧いてきた。リコ達を追いかけていた者達だ。むろん、襲いかかってくる。
「くそっ、数が多い」
「どう、するね。私、にも、時間が、ない、もう、そこまで、『人間』共、が迫っているようだ。早、急に『国民』を、補充する必要が、ある」
「みんな、俺に時間をくれ」
それぞれ怪人と相手にしている仲間に呼びかけるケンジ。
「どうする気なんだい、ケンジ?」
「どうにかする」
リコの問いに答えた。彼女は諦めたように、残る味方に指示を出す。
「みんな、背中合わせになって時間を稼ぐ。集まってくれ」
「ありがとう」
「ああ、今回だけは、君は間違えない、そう信じるよ。だから、……絶対に、死なないで」
リコはそう、ケンジの背中に呼びかける。返事はなかった。
「残念、だ。降伏、する気は、ない、みたいだな」
一人で歩いてくるケンジに、ヨキはそう、読み取った。
「だな、俺もそろそろ、帰って寝たい」
そう吐き捨てるや否、走った。早く、早く。この先の一瞬に全てを賭けた。
その身体には、再び、獣毛が生え、身体を覆っていた。
「む、愚か、だな」
身構えるヨキ。その前に、怪物共が立ちふさがる。
「どけぇぇぇ」
五体の怪物は一瞬で吹き飛ばされ、ヨキの眼が驚きに見開かれる。
「くっ」
ヨキは、『異界の扉』発動の呪文を唱えようと口を開く、が、ケンジはもう目の前にいた。
顔面に強烈な拳を受ける。衝撃で歯が折れ、飛び散った。これで、呪文は発音できないだろう。ケンジはそう思った。が、
「ひょんあ、こほで、ほめられふ、と、ほもふな」
止められないようだ。前歯の無くなった口でニヤリと笑う。
操られていたのだろう、生け贄が最後、呪文の一文を口走る。
「なにっ」
石は発光し、そこから大量の光が溢れだそうとしている。
その先には、シャルリエ、それに大勢の人間。
オオカミは再び走り出した。
跳ぶ、人の頭を踏み台にして、さらに跳ぶ。
残された全ての力を振り絞り石を殴りつける。
そして、光は発射された。




