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「そういえば昨日、ここにいたたくさんの人間はどこへ行ったんだ?」


「一部は死んだ。残りは別の場所に保管してある」


 保管。という言葉に引っかかった。人を物であるかのようなような言い方をする。しかし、この老人ならばそれもあるかと思い、別の質問をした。


「ヨキはどこだ、奴は何をしているんだ?」


「ああ、もう、面倒くさい奴じゃ。ワシはお前さんが味方になろうが、なるまいが、どっちでもいいんじゃ。もういい。好きに生きるんじゃな」


「待ってくれ、なる、なる。いや、仲間にしてくれ。行き場のない俺には願ってもない申し出だ」


 慌てて短気な老人の機嫌を伺う。


「そうか、では、我が国民になるのじゃな」


「そうです。よろしくお願いします。おじい様」


 礼儀正しくお辞儀をする。オオカミ顔にはバリバリのベテラン営業マンもかくや、と思わせる営業スマイルを貼り付けている。


「気持ち悪い呼び方はやめるんじゃ。うん……」


 老人は急に黙った。よく見ると、耳には無線のイヤホンのような物が付いている。そこから何かを聞いているようだ。


「……小僧、さっそく仕事を頼みたいんじゃが、やるかの?」


 相当に酷使されたケンジの身体はすでに疲労の極みを超えていたが、


「もちろん、喜んで」


 彼は精一杯の引きつった笑みで即答した。彼にとっては、自分の居場所を求める選択だ。無理でも呑むしかないと思ったのだろう。

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