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もう、身体が動かない。
強烈な疲労と言う名の老婆が、背中に重くのしかかっているようだ。
老婆は耳元で囁く。
「もう、休んでもいいんだよ」
甘い誘いの言葉。柔らかい響きに、それもいいな、と従いたくなる。
駄目だ。まだ、まだ何もしていない。
ミヤケを倒し、『根海』の奥へ進んだ。すでに、相当のダメージを受け、足取りはフラフラだった。
距離にして数キロほどだったろう。その道のりは、果てしなく遠かった。助けを求める相手もいなければ、仲間もいない。
孤独だった。
霞んでゆく意識と闘いながら、前に進む。
オオカミ怪人と化した自分に仲間はいない。人でもなく、アンドロイドでもない。怪物ですらなくなった今の自分の境遇を呪った。
この先、ずっと、このまま生きていくのだろうか。
そう、考えた時、シャルリエの事が頭をかすめた。
学校ではいつも独り。なぜか、ケンジ達とも距離をとるようになっていた。
彼女もこんな気持ちだったのだろうか?
今どこを歩いているのか、どこへ向かっているのか、目的が何であったのかすら、分からなくなった。
ただ、足を動かしている。
そして、その足もやがて動きを停めた。
やがて思考すらも動かなくなった。




