表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/45

――

 この世界は、何か大切なモノを失っちゃったんだね。

 私達は急いでそれを取り戻そうと躍起になったんだよ。

 だって、こんなのひどいじゃない。どんどんどんどん崩れていっちゃって、なくなっていっちゃって、消えていっちゃって。

 気づけばもうこれっぽっちしか残っていないんだもん。

 焦る気持ちは深みに嵌って、気が付くと、もう事態は引き返すこともできない程に最悪の状況を迎えていたんだよ。

 ここに生きてゆく術はなく、ここに留まることも困難だった。誰にすがっても、何を頼っても留めることも止めることもできなかったんだよ。

 無力だって気づいて、微力だって思い知らされて、それでも精一杯抗って、それでもダメだったんだよ。無駄だったんだよ。


 だからついには逃げだそうと決意したんだ。

 出口を必死に探したよ。入り口を懸命に探して、探して。探し続けてやっと見つけたんだ。


 でも……、逃げた先にも災厄は待っていたんだ。


 私達は、ただ、居場所を見つけたかっただけなのにね。

 そうこうしているうちに、時間は容赦なく迫ってきていた。


 終わりの時間。


 やっぱり私達は、全てを捨てて行かなければならない。

 なりふり構わずに、大切な何もかもを捨てて。

 火に追い立てられる獣のように、巣を侵された蟻のように。

 例え、次の場所に光明が見えなかったとしても。希望が失われていたとしても。既に誰かのものであったとしても。

 そう、新しい居場所を得るために、私達は闘わなければならない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ