1話 異世界!?
行き交う人々の声、鳥たちのさえずりで目を覚ますと見覚えのない天井。
自分の状況を確かめる為身を起こすと見たことのない部屋にいた。
窓の外を見ると見たことのない街並み。
「ここは日本じゃないのか!?」
(俺は・・・誘拐でもされたのか?)
(いやそれはないな)
身体を縛られたりはしていないしこの部屋には誰もいない。
何か手掛かりを探そうと部屋を見渡すと木造の机の上に小さな袋とノートが一つ。
机の横にはアニメやゲームに出てくるような剣が立てかけてある。
(あれは本物か?)
確かめるためにベッドから降りその剣を持ち上げてみる。
「重っ!?」
(予想以上に重かったので思わず声が出てしまった。)
鞘から取り出してみる。
見た目には本物のように見える。
恐る恐る触ってみる。
「痛っ!?」
指を滴る赤い液体。
どうやらこれは本物のようだ。
「何で本物の剣があるんだ?」
謎が更に深まる。
剣を置きノートに目をやる。
ノートの中を見るが何も書いてない。
「これも手掛かりにはならないな」
「この袋はなんだ?」
袋を開けてみると見たことのない硬貨が袋一杯に入っている。
「この国の金か?」
(この部屋には手掛かりになるものはないか・・・)
昨日の事を思い出してみる。
俺は県立高校に通う普通の高校2年生 坂本快翔(さかもとかいと)17歳。
昨日はいつも通り学校に行き部活をして帰った。
帰ってからは疲れてそのままベッドへ・・・
そしてこの状況。
(やっぱり分からない)
「ここはどこなんだよ!」
「何で俺はこんな事になってんだよ!」
『ここは君のいた世界ではない異世界じゃよ』
突然頭に響くように声が聞こえる。