第五章 ボカロ×未来=エピローグもどき?
おこだよ! お姉ちゃんおこだよ!
あ、どうも雨音朱翼の姉の雨音椿ですー! ここ迄読んで下さった皆様、妹の朱翼がご迷惑おかけしましたー!
ってそうじゃない! そう! 私は今、めっちゃおこだよ!
ほら私、事故っちゃって入院って設定じゃない?
本当はね、ピアノも上手だし、それなりに良い曲も書けるし、気も利くし、可愛いし、頭良いし、それに実はEカップなんだよ! もーちょー万能な美少女だから本編でも大活躍するつもりだったの!
だーけーどまーさかのサブヒロインですよー芽衣ちゃんにも負ける出番の少なさでしたよー。言うならパパよりも出番少なかったですよー。あーもーちょーしでねーわー。
ラスボス感漂わせておいて最後出番なしですか! そうですか! あーそういう扱いなんですかー!?
朱翼が部活続けられたのも、輝が部活辞めなかったのも、実は私のお陰なんだよ!? え、ああそれは分かってる? え、その話は本編で朱翼が喋ってた?
————んだよっ!
私の手柄なのに妹が喋ったんかい! 一番頑張ったのに出番は一番少ないんかいっ!
っと文句を言ったらエピローグで私の出番をくれたのです! いぇーいパチパチパチー!
と言う事で私、雨音椿から一言。
続編ではめっちゃ出番あるぞ☆
以上でしたー! ばいばーい!
はぁー。点滴つらたーん————————…………
*
——仮入部最終日の部活。
『願い翔るアゲハ』の生放送映像を本チャンネルでアップして最終的な再生数が出た。
「…………九万七五〇一——————————————…………」
「いぇーい! 輝くんドンマーイ!」
「ま、変態にしては頑張った方じゃないの?」
……くそぉう! で、でも、最初はすげえ調子良かったんだよ?
アップした初日なんて日別ボカロ曲再生数ランキングで九位だったし、ひょっとしたら十万いくんじゃねって云う希望が見えてたんだよ……! くっそぉおお…………
「……な、生放送では二万再生されたし……それと足して十万越え、みたいのは——」
「ない」
「ないわね」
「……ですよねぇー」
真顔でそう言われてしまった。くぅ————……。俺の人生、あんなに美しいおっぱいを揉めるチャンスはもう二度と来ない気がする。はぁー。もっと本気になってれば良かった。
「てっ、ていうか輝くん、一回私の胸触ってるんだからねー?」
芽衣先輩は自分を抱きしめ、警戒態勢を取った。
「え、……あ、バレてました?」
「バレてるよ!」「バレてるわよっ!」
二人はハモってそう威圧した。そうなんですよ、実はこの間の日曜どさくさにまぎれて触ってるんですよ!、あれ、どさくさに紛れてない?、めっちゃ堂々としてた?、え、ふつーに覚えてる? …………なんかかすいません。
「や、でも、服の上からじゃなくて直接触りたかったな——みたいな」
「「えっ(軽蔑の目)」」
…………一瞬で室内が絶対零度と化した。
「や、やだなぁー! 冗談だよ冗談! あははははははははー!」
「絶対冗談じゃないよね」
「ええ、絶対冗談じゃないわ……」
…………どうやらこの部活での変態ポジションはこれから永遠に崩れる事はなさそうだ。
「まーじゃあ気を取り直して! 四天王ボカロPを目標に、次のアップする曲の作戦会議、始めるわよーっ!」
「はーいぶちょー。まずぶちょーは管弦楽法の本よく読んで下さーい」
「なっ! これから読むわよっ! それよりあんたこそ、ミックスくらい出来る様になってもらわないと退部なんだからっ!」
「なんかもーぼくちんエサがないからやるきおきませーん」
「輝くん、コロッケ食べて元気だしなー」
「わーい! やった——………… っうぉっ! ナニ、コレ………………」
「芽衣ちゃん特製爆弾・チョコレートコロッケだよっ☆」
「……ぐふっ…………めい、せんぱいに、ころ、され、た…………っ」
「うふふー仕返しなのだ♡」
「……芽衣ってたまに真顔で怖い事するよねぇ——……」
「朱翼も食べる? チョコレートコロッケ。ホワイトチョコとビターチョコと牛肉と鶏肉のブレンドだよー」
「チョコだけなら案外いけるかなって思ったら肉と混ぜてるのね! わ、私は遠慮しようかしらー……」
「あらそぉ? ざんねーん」
………………………………。
こんな感じで、俺はこれからも、
この八芸電子音楽研究部の、
『こんぽーざー!』として、
今年度の四天王ボカロP目指し奮闘していこうと思う。
「あ、輝くん! 私達の動画に踊ってみたで人気のJKの子からコメント来てるよ!」
「マージすかっ! どれ…………っ。うっひょおおおおおおお! めっちゃ美少女じゃないすか! おっしゃ朱翼、次の動画どうするっ」
「あんたも案外チョロいわねっ!」
-完-




