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やがてリアルは黙示録  作者: 幾刃 傾奇
第一篇 「初まりの始まり」
1/5

#1

 「はぁ、はぁ、はぁ」


 自転車を漕ぎながら俺は逃げる。

 俺の後ろには、大きな蜘蛛が追ってきているからだ。

 その蜘蛛の体長は2m強…規格外だ。

 

 「ありえない、ありえない」


 そう呟くも現実的に蜘蛛は追ってきている。

 現実は変わらなかった。



**********



 ガバッ。

 俺は飛び起きた。

 何か悪い夢でも見たらしく、寝汗がひどい。

 そして気分が悪かった。


 「水でも飲むか・・・」


 そう呟いて俺は、寝室を抜け出した。


 現在時刻5:00でまだ空は暗い。

 春だけども、夜が明けるのは遅かった。

 

 水道水の水を一気に飲み干し、一息つく。


 ふう、落ち着いた。

 そしてゆっくりと俺がいる場所を考える。


 ここは独立国家「撫子なでしこ」。

 科学技術の進歩の副産物であるいわゆる超能力・・・「技能力スキル」と言うのだがそれの研究を行うために作られた国である。

 もちろん国民誰もがそのような異能を持つ。

 そんな所でも格差社会は変わらない。

 そう「技能力スキル」は能力の強さによってレベルが四段階に変わる。

 強い順に「シフト1」、「シフト2」、「シフト3」、「シフト4」の四つだ。

 シフト1はこの世の中に13人しかいない。

 能力の強さは本気で能力を使役すると世界の制圧を1週間足らずで出来る程の強さらしい。

 

 まぁ、俺は「シフト4」の最弱だから関係ないのでどうでもいいんだけど・・・。

 そう言うことだ。

 あとは覚えてない。どんなだったけなぁ?

 

 ふと、時計を見ると都県の針は6:30を示していた。



**********



 今日から新学期。

 俺は1年から2年へとステップアップした大事な初日である。

 俺の通う学校は「第3高等学校」と呼ばれる普通校で、一学年にA組~F組の6クラスもある、いわゆるマンモス校である。

 その中で俺は学力最低、能力最低のF組に所属している。

 もちろんA組が学力優秀、能力優秀であるというのは自明の理である。

 

 キコキコ、と自転車を漕ぎながら俺はこれまた考えていた。

 何でこんなに空が夕暮れ色に染まっているのかと。

 もしかして、夢でも見ているのか?

 自転車を止めて頬を抓るも、痛いだけである。

 つまりは現実だ。

 

 「ありえないだろ・・・」


 呟くも事実に変わらない。

 ふと気になって後ろに振り向く。

 すると、大きな蜘蛛がいた。

 何あれ?

 何故だろう。頭の中で警鐘はガンガンに鳴り響く。

 危険、危険と。

 

 蜘蛛はゆっくりと牙を開くとガシャ、ガシャとその図体に見合わないスピードで飛び上がりこれまた大きな図体が俺の頭の上に降ってきた。

 

 「うおっ!?・・・危ねぇ!!」


 俺は間一髪でチャリを跨ぎそこから逃げ出した。

 漕ぎながら後ろを振り向くと俺がいたその場所のアスファルトが大きなクレーターが出来ていた。

 

 「・・・」


 言葉が出ない。

 ただ、恐ろしかった。

 そいつが。

 

 「くそったれ!!」


 くそくそくそっ!!

 人間意味不明のものに、恐怖、畏怖に追われるとこうも足が震えるものなのか?

 意味がわからない。

 生きたい、生きたい、生きたい。

 今ある本能はそれだけ。ホントにそれだけ。されどそれだけ。

 全力で自転車を漕ぐ。

 足に力を入れる。

 ペダルを力一杯踏む。

 蜘蛛からは遠ざかる。

 

 本能が告げる。

 逃げろ、逃げろ・・・と。


 

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