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夏にぴったりの、超短編ホラーです。
納涼に如何でしょう?
あー、えー、これ、本当に大丈夫です?おーい。見えてますかー?
見えてる?なら問題無いですね。
それでは今から、私の恐怖体験をお話しさせて頂きます。
ひっく。
あ、すみません。すぐ止めます。
あれは、二週間前のことでした。いつものように郵便ポストを確認したら、一通の手紙が入っていたんです。今どき紙でのやりとりなんて珍しいし、誰かに送った覚えもなかったから、何だろうって、少しわくわくして封を切ったんですよ。
それが、間違いでした。
ひっく。失礼しました。どうにも止まらなくて。
中には、意味の分からない文字の羅列と、これを読んだ人間は、同じ内容の手紙を他人に渡さなければならない、みたいな事が書かれてあって。
あ、知ってます?呪いの手紙とか、チェーンメールとかってやつ、昔流行りましたよね。
私はがっかりして、その手紙をごみ箱に捨てました。
え?すぐに他の人に手紙を送らなかったのかって?ええ、勿論。ひっく。だって迷惑だし、そんなことをするほど暇じゃなかったので。
ですが、その日から、恐ろしいことが身の回りで起こり始めました。
はじめは、寒気がするな、とか誰かに見られている感覚があるなって程度でした。風邪でも引いたのかなって。ひっく。ですが、徐々にその誰かが近付いてくるようになったんです。
玄関のノブがガチャガチャと回されたのが1週間前。家の中を、誰かが這い回るような音や、ラップ音がし始めたのが、ひっく、5日前。そして、小物の位置が変わっていたり、テレビが勝手に付いたり消えたりしたのが3日前。そう、近付いてきているんです。何かが私に。ひっく。ひっく。失礼。それに伴って、身体にも異変が起き始めて。例えば、そう、頭痛がしたり、足が重かったり。
それで、つい昨日のことです。私がベッドを背に夕飯を食べていると、強烈な悪寒が襲ってきて。8月なのに、ですよ。そして、ちょんちょん、と何かが私の腰に指を触れました。一人暮らしなのに。
私はもう、怖くて怖くて。でも、何故か視線はベッドの下の方へと移ってしまって。
合いました。
真っ赤に血走った、二つの目と。その何かは、真後ろに迫っていたのです。
私は叫んで、ひっく、そのまま、ひっく、気を失いました。
それで、このお話をすることに決めたのです。
ああ、ごめんなさい、止まらない。
ひっくひっくひっくひっくひっく──。
ああ、手紙の内容ですか?
「ひっく」これが、15個並べてありました。そして、それより多い数のこの文字を書いた手紙を誰かに見せないといけないって。そうしなければ、苦が引き寄せられるだろうって。
ええ、そうですよ。私はあなたに、この文字を16回、見せました。だからあなたは、他の人に手紙を送らなければなりません。
え?これ、動画じゃないのかって?
いいえ?手紙ですよ。ひっく。
あなたは、何回ですか?




