表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤松天翔物語 ~転生したら最弱の戦国大名だった!?~  作者: 姫笠
第一章 示された道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/133

—プロローグー⓪

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

雨の中――葬式場の駐車場。

 空は重く垂れこめ、灰色の雲がすべてを覆い隠していた。

 その中で少年は傘もささず、ただ一人、立ち尽くす。


 もう何日も眠れていなかった。

 建物の軒下では、参列者たちが小さく声を潜めている。


「かわいそうに……いじめだったんだってね。」

「最近、そういうニュース多いわよねー。」


 ひそひそと交わされる言葉が、雨音に混じりながら、じわじわと少年の耳に入り込んでくる。


 ――なぜ、妹は死ななければならなかったのか――


 その問いだけが、頭の奥で何度も反響していた。


 その時。

 ガラリ、と重たい音を立てて、葬式場の扉が開く。

 中から、言い争う声とともに、少年の父と母が現れた。

父「まったく、なんでまた自殺なんか……」

母「あら、白々しい。――あなたのせいでしょ?」

父「……なんだと?」

 母は肩をすくめ、吐き捨てるように続けた。

母「あー、早く離婚調停終わらないかしら。そうすればもう、あなたと話をしなくて済むのに」

父「……チッ」

 舌打ちが、雨の中に響いた。


 やがて母は、少年の前まで歩み寄る。

母「りく、あなたはもう帰ってなさい」

陸「……。」

 陸と呼ばれた少年は、返事をしない。

 ただ一度だけ、わずかに視線を落とし――

 やがて、ゆっくりと歩き出した。


 雨の中を、とぼとぼと。

 どこへ向かうのかも分からないまま、ただ足を前へと運ぶ。


陸(――どうして妹は、こんな家に生まれてしまったのだろう――)


 水たまりに映る、自分の歪んだ影。


陸(――どうして、あんな学校に行ってしまったのだろう――)


 足取りは重く、だが止まらない。

 やがて――

 吸い寄せられるように、ひとつの場所へ辿り着く。

 小さな神社。

 鳥居は傾き、苔むした石段には雑草が生い茂っている。

 社も朽ちかけ、屋根の隙間から雨水がぽたぽたと滴り落ちていた。

 人の気配は、まるでない。


挿絵(By みてみん)


陸は、その場に立ち尽くす。

(……こんな所にも、神様はいるのだろうか?)

 力なく、膝が折れる。

 ぬかるんだ地面に膝をつき、両手を地面についた。

 冷たい泥の感触が、掌に広がる。

 それでも陸は、ゆっくりと目を閉じた。

 心の奥底に沈めていたものが、溢れ出す。

 ――そして。


 陸が願いを祈った、その瞬間。

 空気が、変わった。

 雨音が、遠のく。

 まるで世界から切り離されたような、静寂。

 その奥から――確かに、声がした。


 ――聞き届けた――


 はっきりとした言葉ではない。

 だが、“そう言われた”と分かる感覚。

 陸の身体から、力が抜ける。

 張り詰めていた糸が、ぷつりと切れたように。

 膝が崩れ、前のめりに倒れ込む。

 濡れた地面に頬が触れる。

 冷たいはずなのに、もう何も感じなかった。

 そして陸は、そのまま意識を手放した。



 ――明智殿! ――明智殿!


 遠くから、誰かの声が響く。

 水の底から引き上げられるように、意識が浮かび上がる。

 陸は、ゆっくりと目を開けた。

 視界に映ったのは――整えられた和室。


 畳の匂い。静かな空気。

 正座したまま、いつの間にか目を閉じていたらしい。

 その時。


 バンッ――と勢いよく、襖が開かれた。


武士「ここにおられたか、明智殿!」


 荒い息をついた男が、部屋に踏み込んでくる。

 和服に、結い上げた髷。腰には刀が差されていた。


陸「……?」


 状況が理解できず、陸はただ小さく首を傾げる。

 武士は焦った様子で一歩踏み出した。

武士「ささッ、お早く!――信長様がお待ちですぞ!」

陸「……信……長?」

 少年のかすれた声が、静かな和室に落ちる。


 その瞬間――すべてが、始まった。



Kindleにて出版中の本作(全5巻で完結済み)を、期間限定で公開中。

この機会を是非お見逃しなく!

コミック版も出版中!

xでも情報発信しておりますので、是非覗いていただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ