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15歳 荒井純登場

司令官の笑みを見て、航介は肩をすくめた

「……また始まったよ、この“育成好き司令官”の悪い癖が」

「なにか言ったか、航介」

「い、いえいえっ、なんでもございません」

額に汗を浮かべ、航介は首を振る

貴明が写真を手に取ったまま、じっと見つめていた

青髪の青年―その目は、まるで何かを拒みながらも、救いを求めているように見えた

「……この目、放っとけねぇな」

ぽつりと呟くと、司令官が静かに頷いた

「そうだろう、貴明。 力を制御できずに暴れた者を、ただ罰するのは簡単だ。

 だが“導く者”がいなければ、彼はまた闇に戻る」

司令官は、純を心配そうに話していた

航介はため息をつきながら立ち上がる

「……しゃーねぇな。どうせ俺と貴明で面倒みろって話だろ?」

「理解が早くて助かる」

司令官は微笑んでいた

「純は、まだ子どもだ。 だが“雷”を恐れながらも人を守ろうとする心を持っている。それが、彼を暴走者ではなく“能力者”らしい」

航介は腕を組んで考え込み、

「……つまり、俺たちがあのガキを人間に戻す、ってことか」

「違う」司令官は首を振る

「お前たちが“彼を認める”んだ」

その言葉の重みを、三人それぞれが噛みしめた

蛍光灯がバチッと消え、司令官室は一瞬にして暗闇に包まれた

「……やべぇ、司令官、本気で怒ったな?」

航介がたじろぐ

暗がりの中で司令官はこめかみを押さえ、ひきつり笑いを漏らす

その顔は普段の穏やかさを失い、確かな怒りが滲んでいた

「あのガキを捕らえろっっ!!!」

司令官が声を張り上げる

「待っ待ってください司令官!! まずはブレーカー、ブレーカーです!!」

貴明が慌てて宥めるように言い、手探りで机の引き出しを探す

「ブレーカーは貴明、お前に任せる!」

司令官は銀色のオーラを光らせ、懐中電灯を差し出した

貴明は震える指で懐中電灯を受け取ると、その光を頼りに配電盤へと走った

航介は笑いながら後を追う

「おい、貴明、ブレーカー落とすだけで一騒動かよ」

「一騒動どころじゃねえ、アイツの雷だ。適当に相手したら本拠地丸ごと停められる」

司令官が低く言うと、航介の表情が引き締まる

暗がりに、三人の足音だけが連なっていく

「よし、いくぞ」

銀色のオーラが一瞬だけ強く光り、貴明はレバーに手をかけた

バチッ!とブレーカーが落ち、室内の非常灯がぽつりとともる

どこからか轟音が「ズオォォン」と走り、空には稲光がピカッと走った

司令官室の非常灯が薄く照らす中、顔を見合わせてから、何となく同時に走り出す

「捕らえるぞ、荒井純─本気で、行くぞ……! この私を、本気にさせたな…!!ただじゃすまさせないぞ……!!」

とオーラをメラメラ燃やしていた

航介がふいと真顔に戻り、拳を握る

「よっしゃ、じゃあ俺は氷で足止め、貴明は棍棒で確保だな」

貴明がうなずき、懐中電灯を握りしめた

「任せろ。だが、あのガキ、本当に手強いぞ」

三人は短い合図を交わすと、非常灯の薄明かりの中を廊下へ駆け出した

「行くぞ―荒井純! 覚悟しやがれ!」


15歳の荒井純は、既に身長が170cmもあり、父親の誠と同じぐらいの身長だった

まだ体格は細マッチョぐらいであり、既に白いハチマキと当時所属していたヤンキーの一族の黒い生地に紫のラインが入った特攻服を身にまとっている

廊下の向こうで、電線がバチバチと火花を散らす

その中心に、白いハチマキを締め、黒地に紫ラインの特攻服を翻した少年が立っていた

「だれだ?お前ら」

十五歳の荒井純

まだ線は細いが、瞳の奥には確かな“雷”が宿っていた

「おいコラァ! ビビって引っ込んでんじゃねぇぞ! こちとらいかずちの純様がお相手だ!!」

その瞬間、指先から稲妻が走り、廊下の非常灯が一斉に点滅した

遠くから、航介の声が聞こえる

「おい、出たぞ!! 雷の問題児、発見!」

貴明は眉間に皺を寄せて棍棒を構えた

「おいそこの君! また停電起こしたな!」

純はニヤッと笑う

「はぁ?停電?知らねぇな! オレがちょっと気合入れたら電気が勝手に止まっただけだろ!」

「“ちょっと”で本拠地停電かよ!」と航介がツッコミを入れると、純は逆に笑いながら返す

「おう、しゃーねぇじゃん! 雷、止まんねぇんだよ!」

バチッ!と雷が確かに走る

司令官がため息をつく

「……十五歳でこれか。未来が楽しみだな」

純はふてぶてしく笑いながら、拳を前に突き出す

「オレを捕まえようってんなら、覚悟しな!どいつもまとめてシビれさせてやるぜ!!」

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