仲間の前兆
「理恵華…俺、理恵華のことが…!」
滝は一瞬、喉まで出かかった言葉を呑み込んだ
「滝?どうしたの?」
「い、いや…なんでもない」
「おかしな滝ね」
理恵華は友達に呼ばれ、走っていった
滝はその場に立ち尽くし、ただその背中を見送った
そんな滝の様子を、廊下の角から智嬉が見ていた
「滝?お前…好きになったか?理恵華を」
「ひっ!!智嬉!?」
智嬉はニヤリと笑い、両手を頭の後ろに組んだ
「ふーん、やっぱりな 最近どうも理恵華に気にかけると思ったんだよねー」
「で?好きなのか?実際」
「す、好きに決まってんだろ…っバカ!」
「は、はーん…言っちゃったな?まあ、修学旅行前で良かったな 滝 修学旅行だとイベントあんじゃん?その時に一緒に班になればいいな?」
「智嬉!お前からかってんのか!?」
「うん、もうからかい甲斐があるって感じ!」
智嬉は笑いながら逃げ出した
「智嬉待てっ!!」
滝は廊下を全力で追いかけた
「こら!蒼山!!仮にも生徒会が廊下を走るな!」
「は、はいっ!すいません!」
「まあ、君にもそんな一面があるとはな」
体育教師は思わず笑っていた
放課後の夕日が差し込む教室で、滝は一人、机に突っ伏していた
頬がまだ熱い
――「す、好きに決まってんだろ…っバカ!」
滝は、思わず顔を隠してしまう
窓の外では、理恵華が女子の友達と笑いながら帰っていく
「……好きって、こういうことなのかよ」
その時、後ろから聞こえたのは軽い足音
「おーい、恋する生徒会長、まだ帰ってねえのか?」
振り向くと、智嬉がカバンを片手に立っていた
「うるせぇ…!」
「ははっ、顔真っ赤。完全に恋だな」
「智嬉……マジで黙れ」
智嬉は笑いながら窓際に寄った
「でもよ、滝。中学の修学旅行、チャンスじゃねえか。理恵華と同じ班になれよ」
滝は顔を上げて、わずかに目を伏せながら輝かせる
「……そんなうまくいくかよ」
「やってみろって。俺がフォローしてやる」
「フォローって、お前、どうせまたからかう気だろ」
「ばれた?」
智嬉は肩をすくめ、笑いながら教室を出て行った
「智嬉…っ良い奴なんだか悪い奴なんだか分かんねえな」
滝はその晩、ランニングしていると
路地裏で、1人怖そうな金髪の、小柄な女性の赤い特攻服を来たお姉さんが悪と戦っていた
「……やるなあ、あの姉ちゃん けど…1人で大丈夫か?」
しばらくそのお姉さんを監視していると
もう一人、背の高い、青髪の男が来て乱入していった
滝はその姿を見て恐怖を感じる
「おー…こわ、怖い兄ちゃん…っ確か父さんがこの辺は気をつけろって言ってたな…早く帰ろ…」
と滝は大人しく帰っていった
その2人の喧嘩は凄まじく、2人だけで悪者を退治出来るほどの力だった
滝はこの事を家に帰って父親…蒼山貴明に話す
「でさ?俺がランニングしてる途中に…こーんなでっかい青髪の兄ちゃんに出くわしてさ!そいつがやたらつえーんだよ!!」
滝の話を聞いていると、貴明は笑いだした
「ふ……ははは!!」
「父さん…?」
「心配するな、そいつは、時期に仲間になるやつなんだ、きっと…そのうち、君の友達にもなれるさ」
滝の頭を撫でながら、滝は半信半疑で貴明の話を聞く
「嘘だろ? 俺の仲間? 転校してくる、とか?」
「いいや」
と首を振る貴明
「そのうち…分かるよ、君にも」
と滝に優しく頭を撫でた




