表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

幼なじみ編

夏の夕暮れ、まだ小学校に上がる前の頃だった

滝は団地の前の広場で、ひとり棒を振り回していた

落ちていた木の枝を手に取り、まるでヒーローの剣でも持ったかのように、真剣な顔で風を切っていたのだ

そこへ、駆けてきたのが智嬉だった

緑色のビー玉を握りしめ、泥だらけの膝で「おい!」と声を張る

「なんだよ、それ。剣ごっこか?」

滝はすぐに胸を張って答えた

「俺はヒーローなんだ。悪いやつを倒す練習してんだよ」

「へぇ……」

智嬉は少し黙って、ぽんと石を蹴飛ばした

「じゃあ俺が敵やってやるよ。負けんなよ?」

次の瞬間、智嬉は全力で突っ込んできた。枝と拳がぶつかり、音が鳴った。二人とも痛みに顔をしかめたが、なぜか笑いがこぼれる

「……お前、強いな」滝が息を切らしながら言う

「お前もな」智嬉が笑って答える

それからというもの、二人は毎日のように遊んだ

棒を振り回して戦ったり、ビー玉で勝負したり、時には同じランドセルを背負って走った。雨の日は屋根の下でくだらないことで笑い合った


ケンカもした

泣きながら突き飛ばし合ったこともあったが、次の日には当たり前のように一緒に遊んでいた

――気づけば二人は、互いが隣にいるのが当然になっていた

「滝、俺ら、ずっと一緒だよな」

「当たり前だろ。智嬉は俺の相棒だ」

そう口にしたあの日の約束は、子供の戯言のようでいて、のちに幾度も戦場を共にする二人を支える絆の原点となった


夏の午後、校庭の隅にある鉄棒の下で、滝と智嬉は並んで座っていた

汗ばんだシャツが背中に張り付き、息はまだ少し荒い。さっきまで二人でサッカーボールを蹴り合い、取っ組み合いのような試合を繰り広げていたのだ

「……なあ滝、お前、やっぱ体力お化けだな」

智嬉が笑いながら肩で息をついた

「は?お前こそ。最後まで粘りやがって……」

滝も額の汗を手の甲でぬぐう


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ