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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

【短編】とある王国の末路……どうしてこうなった?

作者: 灰ちゃ
掲載日:2025/08/29

エクレガー・フォン・ヘリオス 不貞を働く王太子

リュミエ・セレーネ 婚約破棄される公爵令嬢

アマリナ・クレスター 横取り男爵令嬢


セレーネ公爵 リュミエの実父

ヘリオス国王 エクレガーの実父

 【0】夜会(ソワレ)にて


「この場をもって宣言する! 王太子エクレガー・フォン・ディマイルは、リュミエ・セレーネ公爵令嬢との婚約を破棄させてもらうっ!」


 公的な夜会(ソワレ)での、突然の王太子の婚約破棄を告げる声が響き。

 会合に参列していた貴族らは、その衝撃的な内容に動揺し、騒めいていたが。

 王太子は続けざまにこうも高らかに言い放つ。


「そして妃候補として、私はこの……アマリナ・クレスター男爵令嬢と婚約する!」


 この夜会(ソワレ)には伯爵以上の高位貴族しか参列出来ない決まりがある。にもかかわらず、王太子の隣に並んでいたのは婚約者であった公爵令嬢ではなく。

 貴族の誰もが見た記憶のない、見目麗しい令嬢だった。


「そ、そんなっ? どうして──」

 

 突然の婚約破棄を告げられ、驚くのも無理はない。王太子との婚約は、王位継承権を盤石のモノとするために国王側から提案された「命令」であったからだ。

 それを、国王不在の状況で。まだ王太子であるエクレガーが勝手に破棄するなど、あり得ない……いやあってはならぬ事だったからだ。

 あまりのショックでその場に座り込む公爵令嬢に対して、王太子は。これ見よがしに部下に用意させた紙束を乱暴に投げつけてみせる。


「理由は以下の通りだ。この女、リュミエは王太子の婚約者という立場を利用し、悪事に手を染めていた悪女だったのだ!」


 その書類には、国庫の横領、理不尽な平民への虐待、隣国から許可なく禁輸品の入手など、様々な悪事の証拠が記されていた。

 問題は、その悪事はリュミエやセレーネ公爵家には一切の関与のない案件だった事だ。

 

 だが、証拠を提示し断罪を始めた王太子は、これ以上ない得意気な表情を見せながら。謂れのない罪を着せられ、愕然とするセレーネにこう言い放つ。


「そんな女を未来の国母など選べるかっ! 我が妃にはこの、アマリナのような美貌と同様に美しい心が必要なのだ」

 

 容姿の話をするならば、セレーネはそこまで飛び抜けた「美人だ」と言うわけではなく。平凡よりも少し、愛らしい容姿である程度だが。

 今、エクレガー王太子の隣に並んでいるアマリナ男爵令嬢は、この場にいる全員が声を揃えて「美人だ」と認める程の美貌を兼ね備えていた。


「よってリュミエ公爵令嬢をこの場で拘束する!」

「そ、そんなっ? これは全てでたらめの証拠ですわ! お父様を……セレーネ公爵をこの場に呼んで下さい──」

「ならん! 後に裁判で正式に罪状を明らかにするまで、牢屋で大人しく己の犯した罪を反省しておけ!」


 王太子の命令には逆らえず、騎士らが公爵令嬢を両脇から確保し。まだ抗議の声を発していた令嬢を会場の外へ連れ出していく。


 こうして、嵐のような夜会(ソワレ)での婚約破棄と、新たな王太子の婚約宣言という騒動は幕を閉じた──はずだったが。


 【1】その顛末


 騒動から一か月が経ち。

 王都は今、大混乱の渦中にあった。

 内戦が勃発していたからだ。


 王城では、事の収拾に文官らが慌てて城内を駆けていたが、中には病気を理由に登城しない者もいたため。欠員の穴を埋めるため、さらに忙しさが増す悪循環に陥っていた。

 

 【2】公爵の激怒


 まず騒動の翌日の事だ。

 愛娘であるリュミエが投獄されたと聞き、血相を変えて謁見の間に飛び込んできたのはセレーネ公爵だった。

 周囲の騎士らの制止も聞かず、老齢であるヘリオス国王に詰め寄る公爵からも。王家とセレーネ公爵家の力関係が伺えるだろう。

 古くからヘリオス王国に仕えるセレーネ公爵家は、親族も含めれば王国の実に三分の一程の領地を有する一大勢力であり。

 王太子であるエクレガーと、リュミエとの婚姻は、王国の統治をより完璧なものとするため必要不可欠な契約でもあった。


 それを破棄どころか、セレーネ公爵家に対し冤罪を吹っ掛けてきたのだから。

 激怒するのは当然の反応と言えよう。


「公爵の怒りはもっともだ。さすがに今回の一件は王太子と言えども見過ごす事は出来ん」


 老齢であるが故に、先日の夜会(ソワレ)を最初に顔を出すだけで退席した国王は。まさか自分が退席し、代役を任せたエクレガーがそれ程に愚かな判断をするなどとは思ってもいなかったのだ。


 エクレガーは正妃の最後の子として溺愛したせいか、才能こそあれど少々人の心を読み取るのに欠ける性格に成長してしまったが。

 だからこそ、控えめで思慮深く、頭の回転も早いリュミエ公爵令嬢が横にいれば。息子の才を上手く活用出来ると過信していた国王。

 しかし、その甘い考えはエクレガー当人の愚かな決断によって粉々に砕かれる事になった。


 国王は直ちに、豪華な自分の部屋で、執務そっちのけでアマリナといちゃついていた王太子に騎士らを向かわせ。

 まずは二人を引き剥がした後。アマリナを王都にある男爵邸へ戻し、エクレガーを城の一室へと軟禁する事とした。

 と同時に、冤罪で投獄されていたリュミエを大至急、牢から開放するように伝達された。

 王太子が用意した証拠の書類の数々は、あまりに裏付けが皆無で、良く言っても調査内容が不十分。悪く言えば、悪意を持った捏造でしかなかった。

 当然、国王が出来の悪い調査結果を目を通した結果。リュミエの罪は「冤罪である」と判断したわけだが。

 悪い事に。

 リュミエは貴族用の牢獄ではなく、平民の犯罪者が詰め込まれる城の地下牢に。しかも独房ではなく、他の囚人らと一緒の大部屋へと入れられていたのだ。

 公爵令嬢ともあろう、まだ一六歳もの少女が犯罪者らと一緒に一晩を過ごせば、どんな目に遭うか。


 結果から言えば、リュミエには一生消えない心と身体の傷が刻まれてしまった。


「お……お父……様っ、わ、(わたくし)、もう穢されてしまいましたわ……ふ、ふふふ」

「お、おおおっ……りゅ、リュミエっ……リュミエえええええええ!」


 セレーネ公爵は、解放されたリュミエ公爵令嬢を王都にある別邸へ連れ帰ったものの。

 冤罪を押し付けられ、かつ塞ぎ込んでしまった一人娘を前に。怒りを抑える事など出来なかった。


「我が公爵家に、これ程の仕打ちをした事を絶対に後悔させてやる──と、国王と王太子にそう伝えておけ」


 騎士らにそう言い残した、その言葉通り。


 その翌日に、セレーネ公爵は王都の屋敷を出払って、なんとそのまま。自分の領地へとリュミエ公爵令嬢と一緒に帰還してしまったのだ。


 同時に公爵家の檄文が、セレーネ公爵家に連なる親族、そして協力関係にある侯爵以下貴族全員に送られた。

 その手紙の内容とは。


『セレーネ公爵家はヘリオス王国から離脱する』


 つまりは領地ごと独立を果たすというもの。セレーネ公爵家に関与する全ての貴族が王国から離れれば、実に領地の三分の一が切り取られてしまう。

 しかし、貴族は誰もが先日の夜会(ソワレ)での婚約破棄騒動、そして手紙でリュミエ嬢がいかなる酷い目に遭わされたかを知っている。

 王家がその権力を笠に着て、公爵家すら切り捨てても構わずという態度は。他の貴族らも「いつ自分の家が謂れのない取り潰しに遭うか」という危機感を覚えるには充分な一件だった。


 セレーネ公爵の予想を超え、親族や関係する貴族だけに飽き足らず。夜会(ソワレ)の一件で、王家に見切りをつけた貴族も離脱に同意してくれる事となった。


 【3】不貞の噂


 さて、問題なのはセレーネ公爵家だけではなかった。

 人の耳と口には門戸は立てられぬもの。

 王太子が自分の婚約者にあらぬ罪を被せ、新たに男爵令嬢との不貞を高らかに宣言した事が。王都の至る場所に噂として蔓延していたのだ。


 噂を口にしたのは現場に偶然居合わせた騎士かもしれないし、夜会(ソワレ)に参列した貴族の誰かかもしれない。

 あるいは、セレーネ公爵が王都を去る前に平民にも騒動の一部始終をぶち撒けたのかも。

 ただの噂であればよかったが。

 噂の内容を裏付けるように、セレーネ公爵家は王都から消え。クレスター男爵邸に娘が城から帰されたのを、少なくない人数が目撃していた。


「ああ、全く口惜しいですわ。せっかく次期王妃の座をこの美貌で奪ってやったというのに。ほとぼりが冷めるまで屋敷に帰れなどと……エクレガー様ったら」


 不貞、つまりは夫婦関係、もしくは婚約者がいる男女が。別の異性と恋愛、肉体関係に発展する行為を指し。

 平民の間ですら、不貞行為を働けば問答無用でボコボコにされ、衛兵に突き出される犯罪となる。


 それを国の王太子がやったのだから。王都中に「王太子、不貞を働く」というセンセーショナルな話題が広まるのに、さほど時間は要らなかった。


 【4】真実の愛が招いた悲劇


 今回の騒動で、セレーネ公爵派閥にも与せず。さりとて王家への協力を断った貴族らは皆、巻き添えを恐れ。

 伯爵以上の高位貴族は自分の領地があるため、自領に引き篭もる選択をし。領地のない子爵以下の下位貴族は、代理で治める領地に移動するか。

 あるいは王都にある邸宅で、騒ぎが収まるのを黙って過ごすかであった。


 だが、王太子という。いずれは国王の座に就く最高権力者の一族の不貞という行為は。

 貴族の社会にとんでもない逆風となって押し寄せたのだ。


 とある子爵家の邸宅では。

 今回の王太子が口にした「真実の愛」なる言葉を謳い。子爵の愛人が邸宅に突撃し、子爵夫人との婚姻を破棄するよう迫る、という事件が発生した。


 また、別の男爵家では。

 男爵夫人が複数の愛人を抱えていた事が、今回の騒ぎを聞いて疑心暗鬼となった男爵の調査で判明し。

 夫人を問い詰めたところ、逆上し発狂した夫人が屋敷に飾っていた武器を握り。男爵を殺害しようとする事態にまで発展したのだった。


 不貞を露呈した男女は、口を揃えてこう証言した。


「私は不貞を働いたのではない、王太子と同じ『真実の愛』を見つけた」


 と。

  

 【5】陰る王都


 最初の頃こそ、王太子を擁護する者もちらほらと現れた。

 公爵の別邸があった王都の中央に位置する地域には、平民が立ち入る事が禁じられているため。元の婚約者であった公爵令嬢を実際に見た市民はほとんどいなかったが。

 クレスター男爵邸があるのは、王都の市街地に面していたため。平民でもアマリナの卓越した美貌を知る者は少なくない。

 故に、王太子も美人を娶りたかったのだろうという意見だったが。


 二日ほど経過すると、王都の民は楽観視出来ない由々しき事態である事を認識せざるを得なくなった。

 王都を警備する騎士や衛兵が、目に見えて数が減り。街の流通がピタリと途絶えてしまったのだ、もう三日も。

 

「ど……どういう事だよ」


 王都を囲む石壁には三つの門が設けられているが、その内一つの警備役が姿を見せなかった。

 おかげで門は誰も彼も通り抜け自由という有り様で。王都に怪しげな連中が入ってきた人数も、両の指では数え切れない程だ。

 問題となった城門の警備を担当していたのは、ダンカール男爵……セレーネ公爵派閥の一人だった。


 代わりに全く来なくなったのが、近隣の街から食料や日用品を運ぶ行商人だ。

 王都には城と街を含め、大勢の人が暮らしているが。農村と比べ農民の数が圧倒的に少なく、街の食料は外部からの仕入れに頼っているのが現状であるが。その食料が届いていないのだ。

 もちろん、城や街もいざという時のために食料を備蓄してあるし。平民だって二、三日程度ならば流通が止まっても問題はない。


 だが、その止まった理由こそが問題だった。


 流通が止まった原因は、セレーネ公爵派閥が一斉に王国を離脱した事で、流通が混乱してしまったからなのだ。

 いや、厳密には。セレーネ公爵領に行商人らが流れるよう、意図的に仕組んだからであった。


「おい! 何だこの値段は、ぼったくりじゃないか!」


 これまで銅貨三枚で買えたリンゴの値段は、たった三日で銀貨一枚。およそ三倍にまで高騰してしまっていた。

 特に日持ちのしない肉や野菜などの値上がりは著しい。


「うるせえ! 文句を言うなら他のとこで買えばいいじゃねえか! もっとも……どの店も同じような値段だけどな」

「くそ、そもそも王太子が浮気なんぞしなけりゃ──」


 騒動の日を境に王都の生活環境が日々悪化していくのを肌で実感していた住民らからは。いつしか、王太子の不貞を擁護する声は消え。

 王太子とクレスター男爵令嬢への不満と怨嗟の声を漏らすようになっていた。

 

 当然、王都の状況は日数が経過する毎に悪化の一途を辿っていき。

 街の備蓄である小麦が底を突いた時、ついに民衆の我慢は限界を迎えた。


「このままじゃ俺たちは飢え死にだ!」

「俺たちにパンを焼く小麦と薪を寄越せ!」


 民衆らは農具や棒を武器代わりに、数箇所に集まって一斉に不満を大声で叫び。不満の対象だったクレスター男爵家と王城へ向けて移動し始めたのだった。


 【6】後悔


 王城のとある一室。

 エクレガー王太子は、軟禁されていた部屋にあるバルコニーから王都の様子を、ただ呆然となって眺めていた。


「ど、どうして……」


 王都のあちこちから煙が上がり、鎮圧のために城から出撃した騎士らと民衆の怒声が各所で聞こえてくる。

 エクレガーが知っている、平和だった王都の街並みは今や何処にもない。


「どうしてこうなった? 俺は……ただ好きな女性と結ばれたかっただけなのに」


 認めたくない。認めたくはないが。

 今、目の前で起きている現実は全て、自分の選択が引き起こした結果なのだ。

 

 正式な手順でリュミエ公爵令嬢との婚約破棄はほぼ不可能だった。何しろこの婚約は、父親である国王がセレーネ公爵に頭を下げて頼んだ経緯があったからだ。

 それを「好いた女性が出来たから婚約を破棄させてくれ」などと言おうものなら。下手をすれば王位継承権を失いかねない。

 確かに国王は老齢で、今や正妃の実子はエクレガー一人となってしまったが。

 何も国王の椅子に座る人間が、王の血統である理由などどこにもないのだ。

 自分の父親の思想を理解していたエクレガーは、どうにか美しいアマリナを妃に迎えるべく、その才能と王太子という地位を最大限に活用した。


 その結果が、これである。


 非情な現実を直視できずに嘆いていたエクレガーだったが、さらなる悲劇が彼を襲う。

 バルコニーから見える、クレスター男爵邸から火の手が上がるのが見えたからだ。

 つまりは暴徒化した民衆によって屋敷に火が放たれたのだろう。


「あ……アマリナは! アマリナは無事なのか、アマリナあっ!」


 今すぐに馬に乗り、男爵邸まで駆け付けたかったが。身体を乗り出したバルコニーから飛び降りれば、最悪死ぬ。

 エクレガーにはアマリナを心配する気持ちはあっても、部屋の外で監視する騎士を振り払ってまで、クレスター邸に向かう勇気は持ち合わせてはいなかった。


 後日、護衛兼監視の騎士から聞いた話では。

 クレスター男爵邸に暴徒が押し寄せ、男爵とアマリナ嬢を屋敷に閉じ込め、そのまま火を放ったらしく。

 その後、二人の姿を見た者はいないという。


「は……ははは……っ」


 騎士からの報告を聞いたエクレガーは、その後。完全に魂が抜けたように、何に対しても反応を示さなくなり。

 ある日、バルコニーから突然身を投げ、生命を絶った。


 国王は王太子の突然の死を公表する事なく、秘密裏に葬儀を行い、城の敷地内にある王族の墓に葬ったが。

 つまりそれは、暴徒化する民衆の怒りを収める対象が完全に消えてしまったというわけだ。


 結局、暴徒化した主犯らを王国の騎士が討ち取るまで、内戦はさらに一か月を要した。


 【7】公爵の願い


 ──その後。


 後継者を失ったヘリオス国王は、まず民衆蜂起でボロボロになった王都を修繕するために私財を放出し。

 それでもまだ王家に忠誠を残していた貴族の協力もあって、短期間で王都を復興させる事に成功するが。

 セレーネ公爵派閥が国から抜けた穴を、結局は埋める事が出来ずにいた王国は。

 独立したセレーネ公爵にあらためて元王太子の非礼を謝罪し、王国に戻って欲しいと懇願した。


 そこで公爵は一つの条件を出した。


「私の娘リュミエの身体と、心の傷を無かった事にしてくれ。そうすればもう一度、国王に忠誠を誓おう」


 リュミエ公爵令嬢は、エクレガー元王太子の不貞の巻き添えを受け。一般牢で一晩放置された際に囚人らに暴行を受けた。

 その心の傷が原因で、男性の顔を見るや恐怖で怯えてしまい。屋敷から一歩も出れなくなってしまったのだ。


 過去に戻れるのならば、国王だって時を戻したい。

 今は亡き王太子が馬鹿な発言をする直前、あの夜会(ソワレ)の前日まで。

 だがそんな事が出来るとしたら、それは神だけ。

 国王には、公爵の願いを飲む事が出来なかった。


 結局、王都の復興で国庫から財を吐き出し、余力を残す事が出来なかったヘリオス王国は。

 

 弱体化した隙を隣国に突かれ、残った貴族や騎士らは国王を中心に最後まで奮戦したが。

 防衛戦の最中に、老齢に加えてこれまでに積み重なった心労が原因で、国王は息を引き取った事で戦意が一気に喪失。

 ヘリオス王国はその命脈を絶たれる。


 一方で、公爵領に戻ったリュミエ公爵令嬢だが。

 長年、王太子妃になるために王家から受けてきた数々の高度な教育に加え。元より凡夫なエクレガー王太子を陰で支えてきた事もあり。

 父親であるセレーネ公爵や家族、屋敷の人間の懸命な介護と、領民の温かな態度で徐々にではあったが外へ出る事が出来るようになった。

 後に──爵位こそ低いものの、令嬢の醜聞などまるで気にせず、立ち直るまで支えてくれる運命の人物に出会う事となるのだが。


 それはまた別の物語で。



……どうでしたか?

正直、貴族社会に恋愛感情など不要だろ、婚姻はあくまで社会システムの維持に必要なだけ、という発想(咄嗟の思いつき)で書いてみた作品です。

恋愛脳がメインではないので、婚約破棄された令嬢がハッピーエンドを迎える展開ゼロです。

むしろ、誰も幸せになれないとことんヘビーな結末だったりしますが。

この物語、誰が主人公かと問われたら「ヘリオス王国」と答えるでしょうね。タイトル通りに。


本来、それほど王家と貴族との契約ってシビアなものですし、中世モデルな支配構造なら権力って、裏付ける武力がなけりゃ何の意味もなかったりするんですよね。

王族の権利を高めたいなら、相対的に貴族の権限を弱めないといけないので領土の統治にも王が関与する必要がありますが。そこまで手が回らないからの貴族による代理統治なわけで、そうなれば実質大部分の領地を統治・管理してるのは貴族になり。王族の発言力は低下するのが普通です。

(江戸幕府のように藩政にしながら負担を強いて中央集権する方法もありますが)

だから王太子の発言力や、貴族と国王との上下関係も、周囲と国内の情勢次第でいくらでも左右される……ハズなんですけどね。

まあ実際にこんな馬鹿な事が起きれば、公爵や侯爵レベルであれば領地ごと近隣国に寝返るでしょうし。国が兵を向ければ、内戦の最中に周辺国に攻撃されてもおかしくないってのに。

だからこそ王族と高位貴族で婚姻したんじゃないのかと。


そういう溜まった鬱屈を吐き出すために書いてみた作品なので、とりあえずスッキリしたとだけ。

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