浮気なんてするクソ王子その他は逆婚約破棄ですわ!の現場で空気を読まず婚約破棄を却下するふぇぇ系令嬢
「イリーナ・イェスカル!私、第一王子クロード・リンドガルは貴様との婚約を破棄する!」
「同じく、俺、ブレイド・ガナッシュはナスティア・キューリンとの婚約を破棄する!」
「私、ロンド・ネーリッシュもアリアーナ・カトリンとの婚約を破棄します」
「僕、エクス・ショーナーも神の名の下、リズベット・ラズベリーとの婚約を破棄します」
「俺、ジョンソン・ベンジャミンもリコット・シルベスタとの婚約を破棄しよう」
それは貴族の卒業パーティでの事件だった。
主役は5人の男子生徒と6人の女子生徒。
第一王子クロード・リンドガル
騎士団長子息ブレイド・ガナッシュ
宰相子息ロンド・ネーリッシュ
教会長子息エクス・ショーナー
伯爵令息ジョンソン・ベンジャミン
そして、彼らが同時に愛した女性にして男爵令嬢リリス・サーキュア
そんな六人と対立するのは婚約破棄された令嬢達。
第一王子の婚約者にして聡明で気品溢れる【完璧令嬢】イリーナ・イェスカル
騎士団長子息の婚約者にして自らも剣の道に精通し、男性も出ている大きな大会で優勝した経験も持つ【騎士令嬢】ナスティア・キューリン
宰相子息の婚約者にして頭に10万冊分の本の知識を詰め込まれていると噂される【絶対記憶令嬢】アリアーナ・カトリン
教会長子息の婚約者にして慈善活動に自ら精を出す事で国民からの人気も高い【慈愛令嬢】リズベット・ラズベリー
伯爵令息の婚約者にして小柄でオドオドした様子が小動物っぽい【子犬令嬢】リコット・シルベスタ
それは正しく、物語でよく描かれる展開のようだった。
令嬢達の中から【完璧令嬢】イリーナが前に出る。
「ふぅ、たかだか学生時代の浮気程度なら見逃して差し上げようと思っていましたが、まさかこのような狼藉に出るとは。
一応、理由をお聞かせ願ってもよろしいですか?」
「知れた事!貴様らは我々と仲良くするリリスに嫉妬し、嫌がらせを繰り返していたな!?
そのような悪辣な女と婚約を結ぶなど出来るか!」
「誓ってそのような事はやっておりませんわ。
仮にそれが事実だとして、婚約者に近付く雌豚を牽制するのは至極真っ当だとは思いますが……。
我々と婚約破棄したところで、そちらの令嬢は1人しかいないのですが、どうするおつもりですか?」
「対外的には我が王妃とする。
しかし、他の者も同じく彼女を愛する同志。
やがて、彼らとの子も成すだろう。
それまでには女性の重婚制度も整えるつもりだ」
逆ハーレムという状況を受け入れていなければ絶対に出ないセリフに、イリーナは頭を抱えた。
言葉には出さないが、心の中では「駄目だ、コイツラ」とか思っている事だろう。
「殿下達は、彼女に嫌がらせをした事を理由に婚約破棄をするとおっしゃいますのね?
しかし、何を証拠にそのような事を仰っていますの?
また、具体的に嫌がらせとはどんなものです?」
「証拠ならリリスの発言が全てだ!
リリスは貴様らに水を掛けられ、教科書を捨てられ、あまつさえ、階段から突き落とされたという!」
「私ぃ、イリーナ様に階段から突き落とされましたぁ。
その時、腕を折っちゃって〜」
と、ギプスの巻かれた腕を指差す。
「これは立派な傷害罪だ。
物的証拠もこうしてある。
これでもしらを切るつもりか?」
「はい、だってそれらは事実ではありませんもの。
その女であれば、証拠捏造の為に自らの腕を折るぐらいやりそうですし」
「なんだと!?」
「では、我々が無実という証拠をこちらも提出しましょう」
それから、令嬢達は第三者の証言とか影の者の目撃記録とかアリバイとか、色々証拠を出して無実を証明、逆に王子達の証言こそ偽りであると突き付けた。
「婚約者のいる身でありながら他所の女と浮気し、まともな検証も査証もせず婚約者を貶め、あまつさえ政略で結ばれた婚約を破棄する?
愚かしいですわね」
「なっ、ぐっ……!」
「そんな方との婚約など、こちらから願い下げですわ。
クロード殿下。
あなたとの婚約を破棄いたします。
政略的な婚姻だというのに勝手に私が貴方を愛しているような妄想をして、勝手に私を煙たがっていた貴方がほんっとうに不愉快で大嫌いでしたわ」
「私、ナスティア・キューリンも、ブレイド・ガナッシュとの婚約を破棄する。
元より、女に負けるような男、政略でもなければ恋愛対象にもならん」
「あたしもロンド・ネーリッシュとの婚約を破棄するよ。
あたしに勉強教わって、あたしに首席譲ってもらってトップになってたくせに勘違いしてイキるならいらなーい」
「うちもエクスとの婚約は破棄で。
元々教会からの命令で仕方なくだったし。
男なんかに媚び売る暇あったら炊き出ししてた方有意義だし」
「わ、私、リコット・シルベスタは、ジョンソン・ベンジャミン様と、婚約破棄しません!」
五者五様の逆婚約破棄。
男達と男爵令嬢リリスは打ちひしがれ、己の愚かさを噛み締めて過去の己を後悔し、暗がりに閉ざされた未来に絶望す………
「ん?今変なの混ざらなかった?」
王子が首を傾げる。
「あ〜……今のセリフ、リプレイで」
「そんな方との婚約など、こちらから願い下げですわ。
クロード殿下。
あなたとの婚約を破棄いたします。
政略的な婚姻だというのに勝手に私が貴方を愛しているような妄想をして、勝手に私を煙たがっていた貴方がほんっとうに不愉快で大嫌いでしたわ」
「私、ナスティア・キューリンも、ブレイド・ガナッシュとの婚約を破棄する。
元より、女に負けるような男、政略でもなければ恋愛対象にもならん」
「あたしもロンド・ネーリッシュとの婚約を破棄するよ。
あたしに勉強教わって、あたしに首席譲ってもらってトップになってたくせに勘違いしてイキるならいらなーい」
「うちもエクスとの婚約は破棄で。
元々教会からの命令で仕方なくだったし。
男なんかに媚び売る暇あったら炊き出ししてた方有意義だし」
「わ、私、リコット・シルベスタは、ジョンソン・ベンジャミン様と、婚約破棄しません!」
ご丁寧にリプレイをかます五令嬢。
明らかに変なものが入っている。
ラストに。
「ちょ、リコット!どういうつもりですの!?予定と違いますわ!?」
「ひぃっ、わ、私は、逆婚約破棄しませんこと?とは誘われましたが、お供しますと言っただけで一緒に婚約破棄するとは言ってません〜!」
目つきのキツいイリーナに睨まれ、リコットは萎縮する。
彼女の容姿は男爵令嬢リリスにも匹敵する小柄さだった。ただし胸はないし、あちらがピンクブランドの目立つ髪であるのに対し、こちらはどこにでもある縮れ毛茶髪だが。
「嫌です嫌です、婚約破棄なんて嫌です〜!
ジョンソン様の事は愛してないし政略婚約だしぶっちゃけ浮気されても何とも感じてないし、リリスさんと付き合おうが牢屋にぶち込まれようが平民落ちしようが心痛まない自信があるけど、でも婚約破棄は嫌です〜!」
「おい!?そこは俺への愛を訴えるところじゃないのか!?」
ジョンソンがしゃしゃり出る。
何しろ、周りが容赦なく逆婚約破棄で切り捨てられるところ、自分だけ助けられそうなので。
何しろ、このまま切り捨てられれば彼らの未来は暗い。
処刑とまでは行かずも、今回の件で周りからの評価を大幅に落とした彼らに輝かしい未来は決して訪れない。
窓際族のようないてもいなくてもどうでもいい仕事だけを回され、誰とも新たに結婚する事も出来ず、家族から腫れ物扱いされながら周りに後ろ指を刺されて惨めに老いていく未来が想像出来た。
逆に、婚約者本人に許してもらえれば首の皮1枚繋がる可能性が高くなるわけで、ジョンソンからみたら婚約破棄を拒絶したリコットが女神に見えた。
その女神に、次の瞬間「愛などありませんが?」と貶されたが。
「愛してないですぅ、そもそも、私みたいなオドオドビクビクした女が嫌いって言ったのジョンソン様じゃないですかぁ。
初対面でそんな事言って来る人を好きになれる訳ないですよぉ。
それから反省して贈り物たくさんくれたとか、手紙をたくさんくれたとか、誠意を見せてくれたら、私チョロいので、絆されたかもですよぉ?
でもでも、そんな事一切なかったじゃないですかぁ。
むしろ学校に入ったらリリスさんにゾッコンで、私への対応余計に悪くなったじゃないですかぁ」
「うぐっ」
「あなた、そんな冷遇されて何故婚約破棄しないと言えるのです?」
呆れるイリーナ。
こんな状況下でも婚約破棄を拒絶するなど、余程相手への愛が強いのかと思ったが、むしろ逆。
いよいよ婚約破棄拒否の理由が分からない。
「でもでも、私の婚約者はジョンソン様しかいないんです、ジョンソン様みたいな丁度いい男性、他にいないんですもん」
「丁度、良い?」
首を傾げる王子。
「は、はいですぅ、ジョンソン様は丁度良い……お馬鹿さんなんですぅ」
「はぁ!?お前、俺が馬鹿だと!?」
「ひぅ、怒鳴らないでくださいぃ、怒鳴られるの苦手なのにぃ。
わ、私ぃ、この通りオドオドしてるじゃないですかぁ。
人と話すの凄い苦手ですし、腕っ節もないですし、頭も良くないし、性格も良くないしぃ。
なんか、ジョンソン様が王子の腰巾着の1人になってるから私まで五令嬢って纏められてますけどぉ、明らかに私だけ劣ってますよねぇ?
なんですか、【子犬令嬢】ってぇ。
子犬みたいに可愛い令嬢ならまだしも、どうせ体格と髪型を見て子犬を連想しただけなんでしょう?ねぇ?」
言われて目を逸らす周辺ギャラリー。
「わ、私、自分より上の人間、苦手なんですぅ。
だって、マウント取られるし、見下されるじゃないですかぁ。それって凄く不愉快で、肩身狭くて、胸がズキィってするんですよぉ。
でもでも、馬鹿な人なら見下されても余裕でいられるっていうかぁ。
キャンキャン吠えてるけどこいつぅ、私より格下だしぃって、広い心で許せるんですぅ」
「お、お前、これまでずっとそんな気持ちで俺に接していたと……?」
「はいですぅ。
でもでも、私、救いようがないほど真正のお馬鹿さんも嫌なんですぅ。
そこまで馬鹿だと、結婚しても、仕事も育児も、全部私に負担が回るじゃないですかぁ。
だから、馬鹿で短慮だけど、最低限の仕事は出来る頭のある丁度いい人が欲しくって、ジョンソン様はとぉっても丁度いい男性だったんですぅ」
実際、ジョンソンは学校での成績は悪くなかった。
ただの伯爵令息でありながら王太子面子の中に端っこながらくっつけるのも、ある意味彼の半端な有能さの影響ともいえる。
「私は、ちょっぴり自分より頭が悪くて、馬鹿なりに仕事はそれなりの旦那様のアシスタントを偶にして夫人仕事をやった気分になれる、そんな生活が理想だったんですぅ。
それにはジョンソン様が丁度いいんですぅ。
ジョンソン様以外の男性なんて極端に優秀か極端な馬鹿しかいません。
スパダリとかクソですぅ、優秀な男性に過干渉なんてされたらストレスで早死にしちゃいますぅ」
「世の中、ここまで相手を必要とし、求めると同時にその相手を貶す言葉があるんだな……」
王子は覚えなくて良い事を一つ学んだ。
「ですので、ジョンソン様との婚約破棄は却下しますぅ。
ジョンソン様は私と結婚してぇ、私に見下されながらお仕事頑張るんですぅ。
幽閉も平民落ちも窓際族にもさせません、ジョンソン様は私の為に働くんですぅ」
「な、それ、は……」
「ジョンソン様に拒否権はないんですぅ。
それに、私と結婚する方が、他の皆さんよりずぅっとマシな未来だと思いますぅ」
こんな場所で婚約破棄などかましたアホに選べる選択肢などなかった。
ジョンソンの未来が決まった瞬間だった。
それから、パーティ会場には国王が乗り込んできて五令嬢(1人除く)の逆婚約破棄は受け入れられた。
というかこの国王、明らかに出るタイミングを伺っていた。
その後の未来だが。
逆婚約破棄をされた王子ーズ(1人を除く)は、案の定肩身狭い生活を強いられた。
王子は廃嫡、他の3人も跡取りの座から外された。
流石に平民落ちまではなかったが、実家や城で窓際部署に所属させられ、馬鹿でも出来る超簡単な仕事しかさせてもらえなくなった。
1人だけそんな無様な未来を回避出来た伯爵令息が、嫁に尻敷かれながらもそれなりに幸せに暮らしていると風の噂を聞いて夜な夜な呪詛を唱えているとかいないとか。
彼らは生涯独身のまま、友もなく死ぬ事になるが、大きな苦労のない暮らして貴族籍にも名前は残ったままなのだから上等だろう。
男爵令嬢は元々の身分も低く、事態の元凶と言うこともあり平民落ちさせられた。
しかし、この男爵令嬢、元々は市井で暮らしていた平民だった。つまりは庶子である。
彼女は学園時代、王子達から貢いでもらった宝石などを売り捌いて金にしていた。
平民落ちした彼女はその金を持って即座に国外逃亡。
貯金を切り崩しながらそれなりに恵まれた暮らしを送った。
尚、独身である。
意外なのは、逆婚約破棄をかました五令嬢(1人除く)である。
クソな男達と婚約破棄したなら、優秀な彼女達に新しい縁談が来るのでは?そう思われた。
しかし、実際彼女達に良縁は届かなかった。
理由はどうあれ、婚約破棄というのは互いにとって大きな瑕疵となる。
【完璧令嬢】イリーナは完璧だけど高飛車。
【騎士令嬢】ナスティアは高潔だけど脳筋。
【絶対記憶令嬢】アリアーナは天才だけど傲慢。
【慈愛令嬢】リズベットは善良だけど奔放。
ぶっちゃけ、王子達の瑕疵が圧倒的に大きいとは言え、傍から見ていても「こんな女とは付き合いたくないよなぁ」と周りの男性達からは思われていたのだ。
イリーナやアリアーナは自分が優秀だからこそ平気で人を見下すし、見下す事を指摘と言い張り自分が間違った事を言っているとは思わない。
ナスティアやリズベットは人を見下す事はしないものの、そもそも社交界でオホホとしてるより外を駆け回る方が大好きなアクティブ人間なので、貴族令嬢としての適性がない。
最終的には、ナスティアは大会で出会った流浪の戦士と意気投合して旅に出た。
リズベットは晩婚となるが資産家の恰幅の良い男爵当主と結婚、その後更に慈善活動に精を出している。
アリアーナはその知性を生かして学者となった。
その中で、自分の傲慢さを指摘し、時には説教までかましてくる生意気な少年と同僚になる。
その出会いでアリアーナの傲慢さは少しだけ鳴りを潜め、周りからは少年との結婚が期待されたものの結局死ぬまで結婚する事はなく、しかし死の間際まで2人は同じ屋敷で暮らしていたという。
イリーナもその教養深さを生かして城勤めをした。
その優秀さと美貌で女性からの人気は集まったが、傲慢で高飛車なところを嫌い男達は避けた。
最終的に彼女は、何人かの男と婚約しては破棄、30歳目前になって妥協で子爵家の男と婚姻を結ぶが3年で離婚。
幸い子供は生まれた事で貴族としての義務は果たせたと言えるが、結婚方面に関しては人一倍の苦労をしたと言える。
晩年の彼女は独身、小さな屋敷で使用人に世話をされながら暮らすが、かつての夫にも実の子供にすら看取られる事なく、静かに生を終えた。
そして、リコットとジョンソンについてだが、ジョンソンは案の定、リコットの尻に敷かれた。
元々2人の立場は同じ伯爵家だが、婚約破棄事件からリコットの方が立場は上なのだ。
リコットはそんな立場を使い、それまで言えなかった事をズケズケ言う事にした。
何を言ったとしてもどうせジョンソンに逆らう事は出来ないので。
元々彼女は人と話すのは苦手だ。
だから婚約破棄事件以前まで、ジョンソンとの関わりも薄かった。
わざわざ自分を嫌う相手に媚びを売るのが面倒臭かったとも言う。
下手な対応をして不快にさせて婚約を解消されたくもなかったし。
そんな制約がなくなった。
婚約破棄事件によってジョンソンの生殺与奪権はリコットの物になった。
なので思った事は何でも言う。
今更毒舌気質の自己中クソ女だと知ってももう遅い。
ジョンソンは死ぬまでリコットの奴隷となるのだ。
「なぁ、リコット、そろそろ俺達も子供を……」
「えぇ、私ぃ、嫌いな人とお盛んになりたくないですぅ、最近ちょっと真面目だからってジョンソン様の事見直してないですぅ」
「だ、だが、子作りは義務で……」
「女は感情で気持ち良くなる生き物なんですぅ、私とお盛んになりたいなら私を持ち上げるですぅ。
具体的にはパティスリー・ホールの盛り沢山フルーツケーキを貢いでもらったらジョンソン様の事も少しは好きになってお盛んになりたい気分になるかもですぅ」
「っ、分かった、買ってくる」
「使用人に任せちゃ駄目です、ジョンソン様が自分の足で自腹で買って自分の手でプレゼントしなきゃノーカンですぅ」
「分かってるよ」
ジョンソンはリコット夫人閣下の奴隷である。
彼女にケーキを所望されれば彼に買わないという選択肢はない。
あ〜、なんて惨めな旦那様。
しかし、惨めな割に部屋を出るジョンソンの口元はほんの僅か、緩んでいるのだった。
どうも、作者です。
最近投稿した作品が爆死したので新しいの書きました。
婚約破棄されたら逆婚約破棄や逆断罪ザマァがテンプレなので、逆張りして「婚約破棄なんて嫌ぁ!」って暴れる令嬢書きました。
暴れたってほどではないですが。
ぶっちゃけ、婚約破棄ってどんな理由があっても双方にとって瑕疵になると思います。
なろう小説の貴族世界は女性に優しいので、婚約破棄されたら加害側だけ責められますが、現実には「婚約破棄されるなんて令嬢側にも悪いところがあったんじゃないの?」と、例え無実でも噂されてしまうと思います。
ある意味、婚約破棄を却下したリコットは正解だったのかも……(彼女はそこまで考えてませんが)。
以下、登場人物の裏設定です。
・リコット
主人公。
ふぇぇ系として書くつもりが単なる毒舌になった気がする。
基本的には気弱で内気、あまり人と話すのは得意じゃない。
が、婚約破棄の場ではジョンソン相手にマウントを取れる大チャンスなのではっちゃけた。
気弱で内気なくせに自己中で性格悪い。
自分より能力が上の人間は自分をいつでも見下せるので嫌い。なのでスパダリは地雷。
自分よりちょっぴり馬鹿な男が理想で、それにハマったのがジョンソン。
見下されるのは嫌いだけど自分より劣った人間に見下されるのは平気。自分がそれ以上に見下すので。
婚約破棄は彼女にとっては婚約者にマウントを完全に取れるチャンスだった。
ある意味婚約破棄というトラブルを最大限に活用した女。
婚約破棄の後、ジョンソンは絶対自分から離れられないと確信してガンガンクズい本性を見せていく。
好きなケーキを買わせにパシらせたり買い物の荷物持ちにしたり理由もなく腕枕をさせたりやりたい放題。
年々物分かりのなるジョンソンに、奴隷根性が身に付いたと勘違いしているが、自分に対する好感度が上がってるとは一切考えていない。
・ジョンソン
伯爵令息なのに王子の取り巻きの端っこに入れるぐらいには優秀。
婚約者を蔑ろにして余所の女に入れ込むぐらいには馬鹿。
好きなタイプは甘え上手でおねだり上手な女性。
嫌いなタイプはビクビクオドオドして何を考えてるか分からない女性。
結果としてリコットにこき使われるようになるが、むしろこき使われれば使われるほど愛しさが増している。
・第一王子クロード
テンプレのザマァ王子。
好みのタイプは自分をヨイショしてくれるちょっと頭の抜けた女性。
嫌いなタイプは高飛車な女性。
元々それなりに社交も勉強もこなせるそこそこ優秀な王子だったが、婚約者は王子よりも優秀で、しかも上から目線で不出来な部分をチクチク指摘してくるのでそれが嫌になった。
反動か、優秀な女性より馬鹿な女性に安心感を覚えるようになってしまった。
・騎士団長子息ブレイド
王子の側近の1人。
好きなタイプは守りたくなる女の子。
嫌いなタイプはガサツな女。
騎士団長子息として小さい頃から剣術を習ってきたが、女に負けてプライドが傷つけられた。
しかも、相手の好みが自分より強い相手だった事もあり、完全恋愛対象外扱いされているのも余計に癇に障っていた。
婚約破棄の後、僻地の無駄に平和な左遷先で燻っている。
・宰相子息ロンド
側近の1人。
好きなタイプは自分の想定外の行動をする子。
嫌いなタイプは天才。
決して頭が悪いわけではないが典型的な秀才タイプ。
自分ほど努力してるわけでもないのに自分より優秀で分からない自分を馬鹿にする婚約者が大嫌い。
そんな彼女より成績が低いのも屈辱で、頼んでわざと成績を落とさせているが、自分で頼んでるくせにそのせいでプライドを余計にきずつけている面倒くせー男。
窓際部署で一生書類をホチキスで留める仕事をしている。
・教会長子息エクス
王子の取り巻き。
好きなタイプは浅ましい子。
嫌いなタイプは高潔な子。
教会で汚い大人達を見て過ごして来たので人の善意を信じられない超人間不信。
善良な人間の裏を疑い、見返りを求められる事に安心する。
男爵令嬢の性格が悪い事は分かっていたがそれが逆に安心していた。
・男爵令嬢リリス
皆さん大好き男爵家の庶子。
このワードを聞いたら誰もがヒロインと思う一方でヒロインとは思わない。
好きなタイプは金持ち。
嫌いなタイプは貧乏人。
金を目当てに王子達に媚を売り、あわよくば王妃の座も?とワクワクしていたがうまく行かなかったのでサッサと逃げる事にした。
とってもちゃっかりしている女。
逃亡した外国で平民の男と結婚させようかと思ったが、悪役が報われる事を極端に嫌うなろう世界で日和った作者の手によって生涯独身設定となった。
・完璧令嬢イリーナ
公爵令嬢にして王子クロードの婚約者。
教養マナーダンス全てにおいて高水準を修める優等生。
好きなタイプはスパダリ
嫌いなタイプは愚かな男。
この愚かの基準だが、彼女にとっては自分より身分の低い男と自分より頭の悪い男は全て愚か枠に入れている。
彼女の条件を満たせる者は王子の後釜の第二王子か隣国の王太子ぐらいだろう。
尚、この世界の第二王子は既に婚約者との関係が良好である上、隣国の王太子は留学自体していないので、彼女の運命のスパダリは存在しなかった。
いくら個人の能力があっても高飛車で傲慢な人間とお近付きになりたい人はいないよねって末路。ある意味一番バッドエンドかも。
・騎士令嬢ナスティア
騎士団長子息の婚約者。
好きなタイプは自分より強い男。
嫌いなタイプは自分より弱い男。
剣の天才だが剣にのめり込みすぎて貴族令嬢世界に合わなかった女。
相手の騎士団長子息が、弱い女を守る事が好きなタイプなのでとことん互いの好みがすれ違ったミスマッチングだった。
婚約破棄後、大会で初めて自分を負かす男に出会い、追いかけるように旅に出る。
なんやかんや旅の中で惹かれ合って結婚した。
・完全記憶令嬢アリアーナ
どこぞのイン◯◯◯◯さん的な頭を持った天才令嬢。ありとあらゆる本はパラパラ読み流しただけで全て覚えられる。
なので努力しなきゃ本一冊も覚えられない宰相子息を内心見下していた。
好みのタイプは自分の想定を超える人。
嫌いなタイプはプライドの高い馬鹿。
尚、彼女の頭脳を超えられる人間は極めて稀なので、多くの人間を彼女は馬鹿と思っている。
婚約破棄後、職場で出会った少年と喧嘩しながらもそれなりの中になり、事実婚みたいな関係となる。
実は婚約者共々好みのタイプは同じようなものだったりする。結局、天才やエリートほど凡庸さに心惹かれるのかも。
・慈愛令嬢リズベット
教会長子息の婚約者。
好きなタイプは自分を持ちあげてくれる人。
嫌いなタイプは自分を否定する人。
下々に施し、感謝される事に喜びを感じる。
実は彼女の善業は善意ではなく打算。
合法的にチヤホヤして褒められる為にはと考えて慈善活動をするようになる。
平民からすればやらぬ善よりやる偽善なので、間違いなく慈善令嬢ではある。
もっとチヤホヤされたい、もっと褒められたい、その為にはもっと活動にお金を掛けたい、と金持ちの男爵と結婚する。
男爵は彼女を評判通りの善良な女性と思っている。
彼女は死ぬまで慈善活動を続け、死後は平民にまで死を嘆かれる事となる。
本性は出さなかったが不幸になった人間は誰もいないのである意味ハッピーエンド。
今更ながらにアリアーナの名前が前の作品のキャラに酷似していると気付いた。
作者の貧困ボキャブラリーだと、令嬢らしい名前とか適当に考えると似たりよったりなものになります。