第7話〜クラス対抗戦、決勝〜
2回戦〜準決勝までは魔法も使わず体術のみで突破出来た、まあ、体術で吹っ飛ばす度に観客が『魔法···魔法か、これ?』とか『瞬間移動に見える踏み込みってどんだけ強く踏み込んでんだよ···、というか体術の枠組みに入れていいのか?』とか聞こえたがまあ、無視、とりあえず決勝戦まで上がれたという結果のみが残る、と
『さあ!決勝戦の始まりだ!青コーナー、南は一焰大公の息子でありながらシングルアクア、だがその強さはここまで来る道中で嫌という程見せつけた、ツルギ·アトラス!』
『赤コーナー、今年入学のフォース!使う属性はフレア、ウインド、ランド、ダーク!4色の魔法を使いここまで勝ち上がってきた、東は四闇男爵の御息女!エリザ·スカーレット!』
対峙した相手を見る、高慢そうな顔立ちだが整っているが鉄面皮に片目が隠れる髪型をしてるのでなお表情が読みづらい、胸は、うちの姉と負けず劣らずのぺったんこ、身長は割と高い方か?
『一焰大公の息子、悪いけど踏み台になってもらう』
声も抑揚なし、まるでロボットだな
『踏み台、踏み台ねぇ···アンタも親と比較されて育ったクチか?』
む、ピクッと片眉が動いた、反応有り
『···』
返答は無し、ただまあロボットじゃないのは確定出来たから良いか
『決勝戦始め!!』
ドォーンと銅鑼が鳴ると同時に飛んでくる風の刃
『おっと···』
スイッと身体を反らし風の刃を避けたと、思ったら次は炎の大槌
『お、魔法の連続行使、そうだよな、ダブル以上だとそれが出来るもんな』
バク転で炎の大槌を回避しながら右手の紋章に魔力を走らせる
『アクアドーム』
バシャァーンと水が右手から迸り闘技場全体を包み込む水のドームを作り出す、勿論闘技場の床を水で濡らすのも忘れない
『さて、水の万能性、身を持って確かめてみな』
〜エリザ視点〜
私と対峙しているアトラスが闘技場全体を水で覆った、これ自体に攻撃性は感じなかったけど何か不味い気がする
『水の万能性、身を持って確かめな』
声が全方位から聞こえてきた
『!?』
咄嗟に目の前に佇んでいるアトラスに岩の弾丸を放つが直撃しない
場所を見誤った?
そんな筈は無い確かに私は目の前にいる相手に魔法を放ったはず···まさか
『屈折···!』
『お、屈折知ってんのか、なら話は早い』
相変わらず全方位から聞こえる声
『視覚が捉えるのは何か、そう、光だ』
着弾地点をずらして岩の弾丸を放つ、外れ
『水を満たしたコップにストローを入れて横から見るとストローが入ってる場所とはズレた場所に入ってる様に見える、これが光の屈折』
全方位から聞こえてくる声を無視しながら炎の波を作り出し放つ、これは流石にアトラスも避けた
『おっと、流石にすぐ対処法を編み出したか、だが良いのか?地面、水浸しだぞ?』
炎が地面に着弾すると視界が白い煙で覆われる、しまった、これは悪手!?
すぐさま風の魔力を練り始める、イメージするのは煙を吹き飛ばす突風
『おっと、風の魔力を練るのは苦手か?』
アトラスの声が私のすぐ背後から聞こえてきた
『!?』
バッと振り向くも姿は無し
『さて、次の講義だ』
次の声は右側から、そちらに目を向けてもやはり居ない
『聴覚が捉えるのは何か、空気の振動だ』
私を、嘲笑うかの様に私の周囲を歩いてる様に声が聞こえるが姿無し
『空気の振動?貴方はシングルアクアでは!?』
『そ、申請に虚偽はねえさ、俺はシングルアクアだよ』
顔を覗き込んでる様な近い位置からの声、だが風の魔力も練り上がった!
『ふっ!』
煙を吹き飛ばす突風を放つと白い煙は晴れた相変わらずアトラスは正面に佇んでいた
『おや?かくれんぼはもう終わりで良いのか?』
相変わらず余裕そうな声で淡々と話しかけてくるアトラスその声に反応する様に周りの水のドームが波紋を立てている
『聴覚が捉えるのは、振動、そういう事』
『おっと、種が割れたか、ならこっちも攻撃に移らせてもらう』
トーントーンとその場で跳び始めるアトラス、どんな攻撃が、来ようと土壁で···
『なんてな』
パチンッとアトラスが指を弾くと周りの水のドームが棘状に変化一斉に私目掛けて飛んでくる、うそ、前方に土壁を作る準備はしてたのに
『う、あああ····!』
全方位攻撃を防ぎようはなく次々に殺到する水の棘を全身に受け私は意識を刈り取られたのだった
〜ツルギ視点〜
うし、ハッタリかまして来続けてよかった、俺が決勝戦まで魔法を使わなかったのは手の内を知られたくなかったから、いくら水が万能と言えどその万能加減にも限度がある、だから初見殺し的に使わせて貰った
ちなみに『聴覚が捉えるのは、振動』でスカーレットの周囲から俺の声が聞こえたのはアクアドームの応用、アクアドームを振動させ声の波長にして相手の耳に届かせていただけ、最後の方の顔を覗き込んでる様に聞こえる声はスカーレットが放った炎の波で床の水が蒸発し水蒸気になったのでその水蒸気に声を乗せただけだ、ま、誰かに聞かれるまでは内緒にしておくがな