⭕ うわさ④ 駄菓子屋 5
「 あれ、春舂先生?
春舂先生も異世界の切符を買うんですか?
折角ですし、一緒に異世界へ行きましょう!
異世界の撮影を出来たら間違いなくバズりますよ!! 」
「 往復切符を貰ったら帰るんだ 」
「 へ?
帰る??
何を言ってるんですか!
異世界に行ける列車に乗れるんですよ!
行かなきゃ駄目でしょ!! 」
「 行く必要は無い。
往復切符を持ってるからって、無事に帰って来れる保証は無いんだぞ。
此方でやり残した事が未々有るだろう。
未練が有る内は止めとけ。
今日は帰るぞ 」
「 春舂先生………… 」
「 もっと自分を大事にしろ。
僕が態々止めるのは珍しいんだぞ!
素直に従え 」
「 ……………………………………………………分かりました。
今回は切符を貰うだけにして帰ります…… 」
「 賢明な判断だ。
さっさと駄菓子を選べ 」
「 ──毎度ありエリ。
片道切符を往復切符と交換するエリ。
切符には使用期限は無いエリ。
人生に疲れて世捨て人になりたくなったら、現実逃避しに来ると良いエリ 」
「 ………………世捨て人は流石に一寸──。
異世界への切符か──。
良い記念になると思います。
額縁に入れて家宝にしますよ! 」
「 好きにするエリ。
当店の駄菓子は《 セロッタ商会 》の公式HPから入っても買えるエリ。
3万円以上、駄菓子を買っても切符は貰えないエリ。
代わりに500円分買うとスタンプが貰えるエリ。
スタンプを集めて豪華景品をゲットするエリ 」
「 豪華景品??
駄菓子を買って豪華景品が貰えるんですか? 」
「 豪華景品が気になるなら《 セロッタ商会 》の公式HPで[ 駄菓子 スタンプ 景品 ]で検索すると良いエリ 」
「 分かりました。
帰ったら検索してみます 」
「 用が済んだなら帰るぞ。
呉々も僕から離れるんじゃないぞ 」
「 気を付けます! 」
「 お面はサービスしとくエリ。
お面で顔を隠して出口まで歩くエリ。
此処で買った駄菓子以外は食べたら駄目エリ。
一口でも食べたら出られなくなるエリ 」
「 分かりました。
駄菓子は食べても良いんですね! 」
「 ゴミのポイ捨ても禁止エリ。
ルール,マナー,モラルを守るエリ 」
「 …………厳しいんですね…… 」
そんな事もあり、YTBの “ ハートル ” は不満を抱きつつも春舂霄囹に引っ張れて駄菓子屋を出ると細道を目指して歩くのだった。
「 お父さぁ~~ん、汚ない額縁が有るよ。
此って何かな~~? 」
「 うん?
それは多分──、爺ちゃんのじゃなかったかな?
子供の頃に自慢された気がするなぁ 」
「 爺ちゃんって、僕のお祖父ちゃん? 」
「 違う違う。
父さんの爺ちゃんだ。
父さんの父さんの父さんだから──、眞喜の曾祖父さんな 」
「 曾祖父ちゃん? 」
「 そうそう、懐かしいな~~。
何て言ってたか………………確か『 異世界へ行ける切符なんだぞ 』って言ってたかな?
ユーモアの有る面白い爺ちゃんだったんだ。
20代の頃には “ オカルティYTB ” ってのをやってたらしくてな、かなり有名だったんだぞ~~ 」
「 えぇ~~、すっごいね!
僕も見てみたいな~~ 」
「 もう爺ちゃんも居ないし欲しければやるよ。
ママには内緒だぞ? 」
「 うん!
ママに見付かったら捨てられちゃうもんね! 」
「 折角だから、綺麗な額縁を買いに行くか 」
「 行くぅ~~! 」
「 よぉ~~し、準備しろぉ 」
「 はぁ~~い♪ 」
◎ 訂正しました。
春舂先生 ─→ 春舂先生
呉々も ─→ 呉々も