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人魚姫
人魚姫
ありきたりな言葉で聞きなれた言葉。
人魚姫は童話の中で切ない物語。
あたしは人魚姫じゃないからわからない。
でもね、もしもあたしが人魚姫だったらどう思うかなって思うのよ。
声が届かない、王子が自分を見てくれなかったら自分は消えてしまう
それでも人魚姫はよくわかりもしない人間界に来たんでしょう?
うらむことなら誰にだって簡単にできるけど
人魚姫はきっと王子を恨んだりしなかった。
すくなくともあたしが読んだ人魚姫は。
あたしなら恨んでしまうかもしれない。
でも、恨まない道を選ぶのだとしたら
伝えたい。
泡になっても、それでも王子が好きだと。
泡になって消えてしまっても王子に出会えてよかったと。
伝えたい。
だからきっと詩い続ける。
いつまでも、いつまでも。
泡になり、姿がなくなったとしても海のそこで
この声が風に乗っていつかあなたをやさしく包んでくれるように
詩い続ける。
どこまでもやさしく、そして強く
詩をつむぎ続ける。
きっと。
そう、きっと・・・・・・。