表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

メガネを外すなら最初からメガネキャラにするな

大変お待たせしました。

「カイルが選挙にですって!?」


 私はついにカイルが選挙に出ることを知り驚きながらも喜びを感じていた。


「はいお姉さま!これはカイルを負かすチャンスです!」

「そうです!カイルに勝てるのはお姉さましかいませんわ!」


 取り巻きの子達は皆彼の敗北を望んでいる。

この期待に応えなくて何がお姉さまでしょうか!?


「この時をどれだけ待ったことか!すぐにエントリーに出かけますわよ!ロリーついてきなさい!」

「はい。」


 私は必ず勝って見せる 

私のために彼女達の為に、

そう自分を鼓舞して足を職員室に進める。



「あのセルビアも選挙にエントリーするってよ!」

「こりゃあ王子の一強だと思ってたがそうもいかないかもな!」

「カイル様に逆らうとか生意気よ!」

「負けることが分かってるのに相変わらずね。」


 それほど人気なのか生徒達がセルビアという人物のエントリーを聞き皆ざわついている。

パフェを食堂で食べていた俺の耳にもその話が嫌でも入ってくる。

その話を聞いて俺が最初に思ったことは。


「誰それ?」


 疑問だった。

俺は平穏を求めて学園生活を送っていたのでそういった派閥とは無関係だった。

最大派閥とか対抗派閥とか言われてもピンとこない。

一般人が政治家の派閥を聞いてもよく分からない。それと同じ、興味がなかった。

だが今となっては嬉しいことだ。

彼女なら王子様(笑)に勝って会長になってくれるかもしれない。

いや、してみせる。

俺はそう決め彼女を探すことにした。

それが俺の運命を大きく変えるとも知らずに。


「やはりカイルの人気はすごいわね。」


 私は彼女達に調べさせた投票予想を見ながら頭を抱える。


「お姉さまも凄いですよ!30%近くあるんですから!」

「そうですわ!」


 彼女達は私を励ますまいとそう言ってくれているが

21%を手に入れるのは至難の技だと言うのは彼女達は分かっているのか彼女達の顔にも少し影が見える。


「まぁ、策はありますわ。」

「流石お姉さま!」

「それは一体どんな策ですか!?」


 彼女達は私の発言で顔を明るくした。

策?そんなもの思い付いていない。

少しでも彼女達に安心させる為についた嘘だ。


「そ、それはまだ秘密ですわ!策にはタイミングが大事ですのよ!」

「そうですね!配慮不足でした!」


 彼女達は私のあからさまな嘘を信じてくれたのか察してくれたのか納得した様子だった。

どっちにしてもありがたいこれで考える時間が出来た。

私は紅茶を一口飲み、考えにふける。

カイルは王子と言うことや性格などの人気で、票を多く得ている。

それをこちらで得るのは生半可な事ではない。

前までの暴君のような彼だったらどれほど楽だったのかと考えてしまうのは私の悪いところか。

成長した彼に勝つことは難しいことだがそれは喜ばしいことだ。

崩れやすい城よりも難攻不落の城を崩す方が楽しいのだから。

それはさておきどうしたものか...


「お姉さまお客様です!お姉さまにお目通り願いたいと。」

「こんな時に?一体どこのだれよ!ほっときなさいお姉さまは忙しいの。」

「そうですねすぐに帰します。」

「待ちなさい。客人をもてなさず帰したとなってはクラウディア家の名折れ、通しなさい。」

「流石お姉さま!」


 本当は少しでも票を確保しておきたいというのが本音だ。

来客を無下にするような人物だと噂が出てしまえばイメージダウンは避けられない。

一人帰したぐらいでそうはならないであろうが細心の注意は払っておきたい。

ここでそんなイメージがついてしまったらカイルに勝つなど夢のまた夢だから。

そんな事を考えていると扉が開く。


「あなたは!?」


 私は扉を開けた人物に驚愕した。

なんせカイル側で一番厄介な人物がきたのだから。


「公明君ですわね。噂はかねがね。」

「こちらこそセルビアさんの人気は私でもよく知っています。」


 嘘だ。

今日知った。

だがここで好感度を下げたら彼女の陣営には入れないだろう。


「それでカイルの参謀のあなたがなんのようで?」


 参謀!?

俺はそう思われているのか?


「いえ、私はカイルの友であり参謀などではありません。」


 まず彼女の警戒をとくために誤解はといておかなくてはならない。

本当にただの友達だから!


「なるほど...ならばどういったご用件で?」

「それは」


 俺が本題を話そうとしたとき

ガチャンと大きな音が部屋中に鳴り響いた。

何事かと音の方を向いたらポットとカップを割ってしまい急いで片付けている少女が目に入った。


「またなの!?これで何度目?」

「なんでこんなに愚図なのかしら……なんでこんなグズの彼女が……」


 セルビアの取り巻き達はカップを割った少女を責めていた。

庶民...あぁ、彼女達もそう言った思考の持ち主なのか...



「大丈夫か?」


 私は驚いた。

彼はカップを割ったラウラを心配し手を伸ばした。

そういえば彼も庶民の出だったか。


「そんな子気にせずに話を...」


 私は話を進めようとそう言った時彼はこう吐き捨てた。


「あなたではカイルには勝てない。

まだこの子の方が可能性がある。」


!?


「なんですって!?お姉さまに失礼よ!」

「そうよ!そのメガネの方が上なんて!」


 彼女達はそう彼を責め立てる。

私も少し不愉快だ。

あんな子の方が私より可能性があると?


「なら証明して見せよう。俺が彼女を会長にする。」

「そうですか!出きるものならやってみなさい!でももしも出来なかったらお姉さまへの無礼の罰として一生私の執事になってもらいますわ!」

「結構!奴隷でもなんでもなってみせましょう!」


「ちょ、私はそんなこと」


「good!男に二言はありませんねそれでは楽しみにしてますわ!」

「ええ。」


 そういい彼はネロをつれていく。

まったくなんでよりにもよってネロなのよ……


 私には何が起こったか理解できなかった。

私があのセルビアさんより上?

会長にする?

負けたら奴隷?

理解できるはずがない。

でも彼に謝らせなければ!


「いますぐ謝りに行きましょう!セルビア様は優しいかたです!今ならまだ間に合います!私のために人生を捨てないでください!」


 そうわたしなんかのために...


「いやこれは俺のためだ。

そんな事よりこんなことに巻き込んですまない。

だが本当に君の力を感じた。」

「力?」


そう言うと彼は笑った。


 

 またやっちまったぁ!!

今度はよく知らない娘を生徒会長にするって言っちまった!

名前も知らないのに! 

だが俺も彼女と同じ庶民だ。

あれを見逃せるほど大人じゃない。

まぁ、やれるだけやってみよう。

無理なら逃げればいいしね。

まずは...


「君の名を聞かせてくれないか?」

「ネ、ネロです。ネロ・コルネリウス」


 これが後のユニストリア王国初の政治官と軍師の出会いとなるのはまだ彼等は知らない。









よければブックマークと高評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ