生徒会長はヒロインになりがち。
人間という物の適用力は怖いものであんなに嫌がっていた学校にも慣れ始めていた。
「それでな!!」
毎日のように話しかけてくるカイルを始めは煙たがっていたが最近はそんな事はなく自分からも話しかけるようになっていた。
「相変わらず心ここにあらずといった感じだな。」
不貞腐れた顔でカイルは拗ねる。
「ちゃんと聞いてるってまたお前の妹の話だろ?」
カイルと話していて分かったことだがこいつは凄く妹を溺愛しているようだ。
俺はそれを少し羨ましく思った。
俺は天涯孤独の身。
この世界に来てから家族というものを感じたことはない。
前世では親兄弟は居たがもう十年は会っていないのだから尚更だ。
「カイルは本当にそればっかり...」
いつの間にか近くにいたナウラは呆れながらそう呟く。
「また盗み聞きか?趣味が悪いなナウラ!」
「そんなに大きな声で自慢話してたら聞きたくなくても聞こえる...」
カイルとナウラはいつもこんな感じだが完全に仲が悪いという訳ではないと思う。
スルーすればいいのにそれはしない。
分かりやすくいうとラブコメの幼馴染みキャラと主人公みたいな感じだ。
憎まれ口は叩きあっているが案外好感度が高かったりする
そんな関係だと俺は思う。
最初の頃はこれも鬱陶しく思っていたが最近はどう二人が進展していくか気になってしまっている自分もいる。
これが恋愛ゲームの友人キャラの気持ちか...
まぁ、色々言ったが纏めると学校も案外悪くないって事だ。
「そういやそろそろ生徒会選挙が始まる。希望者はネル先生の所まで来いよー」
先生がそういい教室を後にする。
生徒会選挙。
俺には関係ないイベントだがどうせカイルが...
「なぁ!俺と生徒会選挙出ないか公明!」
ほらね。
こいつは主人公タイプだから言ってくると思っていた。
「やだよめんどくせぇ。」
「そんな事言うな!一生に一度きりだぞ!」
「お前だけ出ればいいだろ俺を巻き込むな。」
「それはさみし」
カイルは口を手で塞がれナウラに連れていかれる。
少したって戻ってきた二人はどこか笑顔だった。
「流石に嫌な奴を無理矢理仲間にするのは王子としては駄目だな!それでは私は立候補してくるぞ!」
そういい放ちダッシュで職員室へと向かっていくカイル。
その顔は何かたくらんでいる顔だった。
「何吹き込んだナウラ?」
「そ、そんな吹き込むなんてそんなことありませんよ公明様!」
ナウラは目をそむけながらそういい放つ。
相変わらずこの二人は分かりやすい。
俺は何か嫌な予感がしたので生徒会募集の貼り紙を見るために外にでる。
『 第810回生徒会選挙!!
ユニストリア王立学園の生徒会はここがすごい!
学生数1千人のトップ! 様々な改革が可能!
更にリーダーシップも学べる!』
つらつらと謳い文句が書いてあるが下を見てみると小さくこう書いてあった。
『役員は任命可能。』
民主制なんてあったようなもんじゃなかった。
そりゃあ王国だから当たり前か。
そんなことはどうでもいい。
「これかぁ!」
つまりカイルが生徒会長になってしまえば俺が副会長に任命するであろう。
そこに拒否権はない。
完全な独裁学校である。
結構呑気してた俺もそのありえない校則には焦った!!
つまりおればカイルの当選を阻止しなくてはならなくなった。
慣れてきたとか言い出したらこれだよ!!
「お願いします!」
「これはこれはカイル王子!やはり立候補ですか?」
「王子はよしてくださいここでは一生徒です。」
「そうでしたなすみません。」
「またかしこまって。次の授業もあるので俺はもういきますよ。」
そういい残し王子は歩いてく。
「やはり王子も立候補ですか?」
王子が帰った後同僚のラル先生が話しかけてくる。
「えぇ。去年はあんなに嫌がっていたというのに何があったのやら。」
「まぁ、そこは分かりませんがこれは確定ですかな?」
「いえ、まだ立候補者はいます。」
「こう言っちゃなんですが王子に叶いますか?」
「そうですねー」
彼女には可哀想だが王子が出たらしょうがないのかもしれない。
だがもしかしたら何かあるかもしれないと思ってしまう私だった。
ネル先生の日記より抜粋
生徒会選挙でどうにかカイルを負かさなくては行けなくなった公明くん!
そこでカイルの対抗馬を探すことに!?
歴史物なのに最初の大長編が生徒会選挙ってどうなんだ!?
次回
『お嬢様生徒会長も鉄板。』
希望の未来にレディーゴー!!
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