ダンスは苦手だな
「君も変わったね」
ステップを踏みながら王子が耳元で呟く。
すこしこしょばゆいが、リードしてもらっている立場があり、それは言えなかった。
「そうですか?私は未だに愚図でノロマですよ?」
「そこは変わらずか……でもそんな自己評価が低い君が僕の誘いを受けるなんて思わなかったよ」
王子はため息をつく。
?意味がわからない。
「これも勝つためですから」
私は挑発ともとれる言葉を発してしまったことを後悔したが、今さらだ。
もうどうとでもなれ
「やっぱり君は変わったよ。前までなら勝つなんて言わなかった。これも恋がなせる技か……少し羨ましいよ」
凄まじい事を呟く王子に私は驚く。
「こ、恋!?そんな私なんかが公明くんと恋なんて!!」
「そうかい?恋に身分なんて関係ないと最近の喜劇では歌っているではないか。確かに君と彼の立場は違うけど……」
彼との立場……
「立場とかじゃなくて不釣り合いというか……」
「そうかい?僕はお似合いだと思うけどね?君をここまで変えれた公明と彼を支えられる力をもつ君が結ばれたらベストカップルで羨ましいけど」
……本当に羨ましそうな顔だ。
「……王子様も自由に恋がしたいのなら」
「考えたことがないといえば嘘になるがそれが出来ないのが僕の立場なのさ」
そうだ。王子は自由には生きられないのに私はなんてことを
「そうですよね。本当にごめんなさい」
「謝らなくていいさ。だからこそ僕は他の人の恋が見たいのさ。だからナウラを引き入れたんだ。 」
「?ナウラさんを?」
彼女が優秀だからじゃなく?
「マジか君そこまで鈍感なのか?はぁ、鈍感な娘に重い娘、君はとことんついてないな。」
「???」
「はぁ、ナウラは君の最大の敵だよ。」
あんなに優しいナウラさんが?
ありえない。
「それってどういう」
そう聞いたときちょうど音楽は鳴り止む。
「彼女恋のためならガチで命を狙ってくるからね。」
「えぇ!?」
「今はあの黒影がターゲットを引いてくれているからまだ気付かれてないけど、いずれ気付かれる気をつけたまえ。それじゃあ僕はそろそろいい時間だし、少し野暮用があってね。そろそろおいとまするよ。」
「まってください!!それってでも黒影ちゃんに悪くないですか!?……」
「好きになってしまったんだろう?なら行動したまえ。待つだけでは希望は訪れない。
世界は喜劇のように甘くないのだから
それにそれぐらいで揺らぐ関係でもないだろう?それに彼女はそんなこと言ってる場合じゃないしね」
行ってしまった。
こんな夜に用事っていったい何だろう?
と思った。
応援してくれてる王子には悪いが、私は引くことにしよう。
だから最後の思い出ぐらいいいよね?
黒影ちゃん。
「……あの!!公明さん!!話があります!!」
「奇遇だな。俺も話があったんだ。」
「「一緒に踊りませんか?」」
「な、なんで公明君の方から誘ってくるんですか!?公明君には黒影さんが……」
「いや、黒影なんか予定が出来たとかいってすぐどこかに行っちゃったし」
「えぇ!?」
黒影ちゃん何してるの!?
最大のチャンスだったのに!
もしかして黒影ちゃん、公明君に興味ない?
それなら……でも興味なかったら誘いを受けるわけ……
あぁ、もうわかんない!!
「それに黒影がネロと踊ってやれって」
黒影ちゃん君優しすぎるよ……
そんな優しさを利用させて貰うね。
後で黒影ちゃんが大好きなケーキ奢って上げるからね!!
「踊りましょう公明さん!!」
「あぁ!!曲はどうする?」
「そうですね……曲は」
曲担当の人は帰してしまったので、
私は音魔法を操り、私はあの曲を演奏する。
「これって確か……」
「氷の女王 最終曲 溶ける氷です!!」
氷の女王 彼女は孤独で生きてきた。
そんな女王は一人の男に出逢い恋をする。
だが氷に恋は許されない。
何故なら恋の暖かさで溶けてしまうから。
それをしりながら恋をした女王の最後を表した曲。
悲しい曲だがどこか暖かさも感じられる。
そんな曲。
私はこの曲が意味がわからなかった。
あなたと出会うまでは。
あなたは私を変えてくれた。
あの冷たい女王を溶かしたの心をとかした男ナーラのように。
「踊ってくれますか?ナーラ様?」
「おれがナーラなんて作者が知ったら怒るだろうけど……喜んで女王様」
踊りつかれたので水分をとって休んでいた自分にあの二人のダンスが目にはいる。
「彼あれで彼女の恋心に気付いてないんだろなぁ。ただこの曲を好きな曲としか認識してないね。訂正するよ鈍感と鈍感だからもっと大変になりそうだ。がんばれネロ」
本当にため息が出る。
「さて、そろそろあの激重と忍者のバトルを止めにいくかぁ。」
本当にめんどくさいが止めないと大惨事になりかねない。
先生が止めてくれるだろうが、友達の友達を懲罰塔送りにもにしたくもない。
まったく
「君の友達も大変だよ公明。」
だがそこが面白くて友達を続けているんだが。