忍者の掟
私は黒影は忍者という職が嫌いだ。
だって生まれた時からトレーニングや相手を魅了する話術や知識を得るために勉学に励まなくてはならない
それに君主を守るために無理やり覚悟を決めさせられる。
私が守ると決めさせられたのはあの馬鹿王子
あの馬鹿のために命を懸けろ?
嫌に決まってる。
だが私にはそれしか価値がない
私は影
太陽がいなければ存在できない駄目な存在
そんな私を誰も必要としない
いつからかそう考えるようになった
彼女に会うまでは
ネロ
彼女は私を普通の女の子として友として扱ってくれた唯一の人
身代わり人形でもなく暗具としてでもなく人間として
彼女は私にとっての光
だから私は彼女についていくと決めた
例えそれが掟に逆らうことになっても私は彼女を守る。
例え他者からどう思われようと関係ない
だって私は影なのだから
「明日のパーティー 一緒に踊らないか?」
「へ? わ、私に言ってますか!?」
理解できなかった。
この男は何を言っている?
私と踊る?
ネロではなく?
彼はネロに手を貸してくれてるのではなかったのか?
彼ほどの有名人と踊ればネロはもっと話題になり選挙にも有利になる。
それなのに私なんかと?
馬鹿なのか?
「ネ、ネロちゃんと踊った方がいいと……いえ私が意見するなんてごめんなさい!!でもこんな私なんかじゃなくてネロちゃんと踊った方が……」
「俺が君と踊りたいんだ 政治なんか関係ない」
「で、でもネロさんを会長にするには!!」
「あぁ、確かにネロと俺が踊ればよくも悪くも注目はされるだろう。でもおれは君と踊りたい」
「なんでそんなに私なんかと……」
「君は充分魅力的だ」
私が?
嘘だ。
「嘘は辞めてください!!何も知らないくせに!!」
「確かに君の事は何も知らない でも君の学校での努力は知ってる。ネロを守るためにそうやってヘイトを集めたり彼女をよく思わない存在を先に排除したり」
ばれていた……
誰にもバレないように注意していたのに……
やはり公明はただ者ではない……
なら尚更手が汚れきっている私なんかとなぜ?
「ならなんで!!」
「君を救いたい」
「偽善ですね……それに私は救ってくれなんて」
「君は昔の俺とよく似ているから分かる
そのままじゃ心は壊れてしまう
もう俺みたいな存在は作りたくない 確かに偽善かもしれない 嫌ってくれても構わない
俺がそうしたいだけなんだから」
勝手だ
勝手に現れて全てを変えてしまう
不思議な人だ。
私も変われるのだろうか?
こんな私でも?
私はしらぬまに彼の手をとっていた