表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/151

第2章 独立〜9〜

第2章〜9〜


一大イベントへの出演を決めた3人は、まずは挨拶のため、会場となるライブハウスへ。

 高校の先輩であるプロミュージシャンの南条力の招待。この上ない程光栄だ。

 これを受け、Nick Shock ! は、12月に行われるクリスマス・ライブに出演する事を決めた。


 これまでは小規模ライブハウスで、アルコール類を提供しない未成年者対象のイベントに出演してきたが、今回は違う。

 インディーズで活躍する2つのバンド、そしてもちろん、ライブハウス・Soundboxのオーナーである南条力のバンド・Day Light。

 他の出演者を見れば、それがどういう舞台なのかは一目瞭然。

 プロアーチストとの共演。それは、自身初の一大イベントだ。


 Nick Shock ! は、以前から“高校生バンド”として、それなりの人気を博してきた。

 もちろん、初めから「凄腕」などと言われていた訳ではなく、7回の出演経験を経て実力を身に付けてきた。

 そしていつしか、高校生としては群を抜く腕前として、関係者からも知られる事となる。


 当然それは、同じ高校の卒業生であり、ライブハウスを経営する南条の目にも留まる事になる。

 3人が高校を卒業した事を受け、これから音楽活動をしていくための踏み台となれば―。

 南条は、そんな想いを持って、3人を招待した。

 もちろん、自身の後輩にこれ程までに有能なバンドが存在する事は、彼にとっても誇りである。


 自らが音楽活動をしながら、南条は常にアマチュア達を見ていた。そして、将来活躍するであろう腕のいいバンドに対し、この様に自己アピールの場を与えてきたという。

 いつも全力で演ってきたNick Shock ! だが、今回はその成果が現れたと言っていいだろう。



 3人は、南条他Day LightのメンバーとSoundboxのスタッフへの挨拶に、現地へ向かった。

 今まで出演してきたライブハウス・MUSE LABと違い、向かう道中も緊張しっぱなしだ。


「350人規模や言うてはったな」

「MUSE LABの…何倍や?」

「あそこで120人言うてはったよな?」

「3倍か。デカいな」

「プロが演る会場やもんな」

 ―俺らなんかで盛り上がるやろか?


 そんな不安を抱えながら、ドアの前に立つ。リーダーである剛が、そのドアをノックした。


「ようこそSoundboxへ。オーナーの南条です」


 予想外に腰が低い人だ。プロミュージシャンなんて、とても仏頂面で気難しいものと、勝手に思っていたのだが。


「よ、よろしくお願いします」

「ははは…固いよ。折角楽しもう思てんのに、もっとリラックスしやな」

「あ…はいっ!」

「そしたら、まず…ふふ…演ろうか」

 ―え?

 ―演ろうって?


 戸惑う3人に、スタッフがギター、ベース、ドラムスティックを手渡した。


「言葉の挨拶なんて要らんよ。ミュージシャンは、まず演る。これに尽きるってね。何演る? 何でも好きなのでいいよ」

 ―それなら!!

「『Pictured Life』(スコーピオンズ)、いいですか?」

「おお! シブいねぇ。クラウスの声、日向君やったっけ? 出せるんや、あの高音」

「はいっ!」


 任せろと言わんばかりの返事だ。


「じゃ、柳井君! 合図して」

「しゃあっ!!」


 哀愁漂う美しいイントロから、Aメロへ。歯切れの良いバックトラックから、流れる様なトリル(2つの音の速いテンポでの繰り返し)へ。颯希のギターと南条のギターがハモり、美しい音色を奏でる。


 スコーピオンズのヴォーカル、クラウス・マイネは、これまた美しいハイトーンヴォイスで知られる。

 一般的にはこれを真似て歌いこなすのは至難の業だが、颯希はそれをしっかりやってのける。むしろ音域で言えば、颯希にとってはベストかもしれない。


 エンディングは、颯希のアドリブギター。

 ミドルテンポのため、持てるテクニックをふんだんに盛り込んでいける。

 まずは能力を見てもらおうとするなら、持って来いの選曲だ。

 やがて颯希が彰人に目で合図を送り、徐々にテンポを落としつつ演奏は終了した。

読んでいただき、ありがとうございます。


「言葉の挨拶なんて要らない。ミュージシャンは、まず演るに尽きる」

我ながら名言ではないかと 笑。


スコーピオンズは、ドイツのHRバンド。

ヴォーカルのクラウス・マイネさんは、御年75歳ですって。

最近FMで新譜が流れてたんですが、全く衰え知らずの激アツお爺さんです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ