魔獣対策会議
俺達は怪我を負ったゴブリン達を発見した。
兄のゴブリンか怪我を負って、父ゴブリンか肩を貸しているようだ。
「なぁ!スライムに、どうしてここに来ている!」
「怪我をしているのが分かったからな。運ぶから背中に乗っけてくれ!」
五感【極】のお陰で聴覚で足音が変な事を雨の中見つけ、第六感【E】の勘で怪我を負っていると分かった。
スライムの体は殆どが捕食出来る細胞だ。
なので、虎戦で土が投げにくかったが、足場は食べて居ない事を思い出した。
つまり、俺は無意識で足場にしている所と触れている箇所は足だと認識しているのだ。
なので、足の所はコーティングされていると考えた。
ならば手なども意識すれば良いのだろうが、それを全てやるのは難しいと分かったので、俺はスライムの形で横一文字の線で口を作って、その口の内部から消化が出来るようにした。
なので、俺の今の体は勝手に消化されないようになっている。
父ゴブリンが兄ゴブリンを俺の背中に乗っける。
俺は落ちないように体をぺたんこにして、足となるタイヤを2個ではなく6個っとして安定させる。
さらに、兄の傷口を俺のスライム細胞で止めておく。
俺が名ずけているスライム細胞は、俺の体の中にある細胞の事だ。
どこでも消化されるのなら1つ1つの細胞でも消化させるのでスライム細胞と名ずけたのだ。今はどうでも良いだろう。
コーティングされたスライム細胞は血を流す事無く、傷口を塞いで血を出さないように出来る。
「何が会った?」
戻りながら門番ゴブリンが父ゴブリンに何が会ったと聞いた。
それは、俺も気になった。
「ああ、魔獣に会ったんだ。しかも、狼のな。砂のお陰で逃げる事は出来たが追ってくると思った。まあ、この雨の中だ。匂いも消えているだろうな!」
「魔獣?」
「ああ、魔獣とゆうのはな。魔物とは違う。動物が長年魔素を受けて、溜め込みその体を変えていくんだ。動物が魔素を得た姿が魔獣だ。しかし、動物と違って魔獣は少し知性が上がり、強くなる。中には魔法みたいなモノも使う奴が居たりする。スライム、お前も気を付けろよ?」
「ああ、肝に命じておく」
魔素で姿などを変えたのが魔獣か。
色々ありすぎて整理がつかない。
「⋯⋯な、なあ。もし、もしもな、鼻を極限に強化された狼の魔獣で、雨の中微かな匂いでも嗅ぎ分ける事が出来たら⋯⋯どうなる?」
「はは、演技でもねぇ事言うなって、そんなの、やべぇよ。逃げれるか分からない」
「そうか、よし!スピード上げて対応するぞ!」
「⋯⋯まじかよ。急ぐぞ!狼が来るかもしれん!」
「お、おう!わかった」
本当に分かってんのか?まあ、良いや。
何とか何事もなく帰ってこれた。
ただ、兄の怪我で妹さんが号泣していたが、この雨の中でも敵は休んではくれないだろう。
急いで族長の所に向かって戦える者を集め、対策会議を始める。
戦える者は10人、族長は参加しない。
「まずはどうやって対応するかだ。父さん、狼の大きさは?」
「スライムはこうゆう時、1番輝いているよな⋯⋯大きさは前の虎の2倍程だ」
「ま、マジかよ」
虎の大きさは横30センチ、縦は1.5メートルはしている巨大だ。
その3倍⋯⋯か。
しかも、魔獣は頭が良いとゆう。
砂の目潰しは通用しないと考えておこう。
目を潰しても鼻が極限までに強化されたのなら匂いで分かるだろうな。
「そもそも本当に来るのかよ?その魔獣は?」
「スライムがそう言うんだ!来るだろうよ」
「そもそもそのスライムを本当に信用していいのか?」
「おい、それは、族長たる私を侮辱しているようなものだぞ?私がこのスライムを受け入れ、さらに狩などの安定はこのスライムのお陰だろう?恩を仇で返す愚か者は⋯⋯いる訳ないよなぁ?」
「す、すまん」
「いや、言いたい事は分かる。こっちもあんまり信じたくない。信じたくないが、最下級エリアの方から嫌な気配が地道に近づいている事が分かっんだ。これが魔獣だろう?」
「最下級エリア?」
「すまんそれは気にするな」
「あ、ああ」
気が混乱していて父ゴブリンに言われるまで分からなかったが、父ゴブリンと会話をしている内に変な嫌な気配を感じ取り、父ゴブリンが魔獣の話をして確信に移した。
これも五感【極】のお陰だろう。
「な、ウルフ族に手助けは仰げないか?それか、オーガ族に」
「ここからだと1番近いウルフ族の村にも距離があるし、この雨だ。川を渡れん。それに大鬼族は近寄れないし、距離もあるので論外。他のゴブリン達にも集落や村もここからだとそこそこ距離がある。不可能に近いだろう」
「この人数でやるしか無いのか⋯⋯」
「と、言い忘れていたがその魔獣の戦闘力は154だった」
「戦闘力?」
「ん?ああ、スライムは知らないんだな。我々魔物は目を細めて対象に集中するとある数字が見えるんだ。それを戦闘力と呼んでいる。何が基準で、どうしたら上がったりするのかは分からんがな。それと、この戦闘力は魔物や動物には無く、魔獣は人間相手なら見えるぞ」
「なるほど」
そんな機能あるのね。
そう言えば、俺はこの世界に来てから言葉に困った事が無い。
つまり、この世界は日本語が共通語なのか?
「なあ、人間とは話せないのか?」
「無理だな。我々は無意識に魔物だけで話せる言葉を話している。魔物語って呼んでるな。長年生きている者は人間の言葉も話せるようだ。ちなみに、人間には言葉は伝えれないが人間の言葉は理解出来るぞ」
つまり、その戦闘時に作戦を伝えている人間の作戦は分かると。
「人間の話は後にしてやる。今はどう魔獣と戦うかだ」
「落とし穴を掘る時間はあるか?」
「落とし穴は使わない。いや、寧ろ使えないだろう。相手は身体能力が上がっている狼なんだから⋯⋯」
「なら、どうするってんだ!」
「安全にやりたいが、少し危険な行動ならあれを使える」
「な、だが、どうやって高所をとる?」
「この近くに崖があるだろう?その崖下まで誘き寄せる」
そう、この里の近くには崖があるのだ。
と、言ってもそこまで深い物ではなく飛び降りても問題ない高さだ。
だいたい4メートルくらいの崖。
「そこまでどうやって誘き寄せる?」
「⋯⋯狼の魔獣は兄ゴブリンさんの血の匂いを1番覚えている筈です。なので、これを持って自分が崖下まで誘き寄せます」
「分かった。信じるぞ?」
「はい」
俺は兄ゴブリンの治療に使った布を取り出した。
赤く濡れたこの布の匂いは兄ゴブリンの血で満ちているだろう。
これを使って俺が崖下まで誘き寄せる。
その後はあれを使う。
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