脳味噌筋肉達磨種族
鬼様の里、それは人間が住む所から遠く森の奥深くに秘境とも呼べる場所にあった。
そこに住む鬼族達は独自の文明を築いているのであったと言えれば良かったのだが…
ドォォォン、ドォォォン、ドゴシャヤ!!
「へへへっ、今日も俺の方が一本多く倒したぜぇ!!」
「はっ?何言ってんだよ、俺の方が多く倒したぜ!!ほら、数えてみろよ!」
「1、2、5、7?俺は7本倒したぜ。お前は?」
「1、5、8。ほら、俺の方が一本多い!今日は俺の勝ちだな!!」
「はっ?納得いかねぇ、どっちが上なのかそこ岩を遠くまで飛ばした方が勝ちだ!!」
「おう、望む所だ!」
また始まった、どう見ても数字飛んでんだろ。馬鹿なのかあいつら、いや、馬鹿なのだった…
鬼族は人間より遥かに上回る身体能力を保有しているがいかんせん頭まで筋肉で出来ている残念な種族なのだ。
今は人間がここまでこないが、爺様達の話だとこのままでは人間に見つかるのも時間の問題、しかもあの頭の悪さだと利用されるのがオチなのは目に見えてる。
鬼族は身体能力が優れてるから運搬から戦いまで何でも出来るいい人材だ。しかも人間ではないからこき使われるのは確実。
里の男衆が居なくなれば自ずと里が衰退して消えていくのは簡単に推測出来る。困った、あぁ、困った。
「おい、さっきから呼んでるのに何無視してんだよっ!!」
「うぉ!!びっくりした、何か用かよ凛?」
「何か用なきゃ呼んじゃいかねぇーのかよ!」
そう、コイツは俺の幼馴染みでこんな言葉使いだがれっきとした鬼族の女だ。
彼女は小柄で目はパッチリ、胸はそこそこ大きくスタイルは出るとこでて、他はくびれている。理想の体型だ。髪は利発そうな彼女に似合うショートヘアで髪の色は黒とサイドが藍色だ。
見た目は超べっぴんさんなのだが、そうなのだが…
「また難しい事考えてたんだろ?そんなのいいから川で魚とって遊ぼーぜ?いっぱい獲れれば腹は満たされるし楽しいから一石四鳥だろ?」
どこが一石四鳥なのか詳しく知りたい所ではあるが、それを問い詰めると不機嫌になるのは目に見えている。なにより上目遣いで両拳を握るその姿はめっちゃ可愛いのだが、
「あんだよ?じっと見やがって!いいから行くぞっ」
「分かったから引っ張るな凛!行くから、いててててっ」
そう、俺の可愛い幼馴染みは鬼族らしく頭まで脳筋なのだ。はぁ。