魔素飽和
「……負傷はしていますが、緊急を要する程ではないみたいですね。 安心しました」
ダリアは僕から僕の背中側の巨大スライムに視線を移す。
「やはり、魔素飽和を起こしていますね。 引き返して正解でした」
”魔素飽和”?
ダリアが戻って来た理由もそれなのだろうか。
よく分からないけれど、あのスライムが、なのか?
「ええと……、つまり?」
ダリアはスライムに目線をやったまま、説明を始める。
「一般的に、供給される魔素を生物が蓄えられる量には”限界”があります。 ところが、何らかの要因で限界を超えると、その生物は過剰に供給された魔素によって、著しく能力が強化されます」
空気中や、食べ物なんかにも魔素が含まれていることは聞いている。
それらを摂りすぎると身体に悪影響が出るらしいが、それがダリアの言う”限界”だろうか。
「そして、あのスライムはこのダンジョンの不人気もあって、長い間倒されることがなく、かなりの量の魔素で強化されています。 正直に言って、召環者といえど、戦い慣れしていない者が手に負える強さではないですね」
つまり、ここのスライムは、元からこんなに凶悪だったわけではないのか?
道理で、初心者向けの強さとは思えない筈だ。
妙な納得と共に、そんな場所に来てしまった自分の不運を呪った。
修正(22/03/01)
・召喚者→召環者
この間違いだけはしないようにしていたのに…




