表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
7/281

お人好しキャラは動かしやすい

 僕は今、森からの脱出を決意し、兵士達を尾行している最中だ。

 一定の距離を置き、細心の注意を払いながら後を追う。

 こういうシーンでお約束の足元の小枝もしっかり回避していく。


 彼らは時折声を発する以外は、下を向いて何かを探す動作をしている。

 表情はその被っているヘルムで全く見えないが、散歩ということもないだろう。

 何らかの理由があってこの森に来たのかもしれない、……と考えていると、不意に一人の兵士が声を上げ、咄嗟に僕は近くの茂みに入る。

 声に釣られてもう一人の兵士と僕の視線が彼に集まる。

 彼は屈んで何かを手に取ると、確認を取るようにもう一人に見せた。

 声色だけでも、少し浮かれているのが分かる。

 もう一人の方も、ひとしきりそれを凝視した後、大きく頷き、喜びを噛み締めるように握りこぶしを作った。


 何があってそんなに喜んでいるのだろう。

 ここからでは持っているものがよく見えない。


 じっと目を凝らしていると、ぼんやりとだが大体何なのか分かった。

 どうやらペンダントのようだ。


 もしかして、あれを探していたのか。

 態々こんな森の中まで来るとは、余程大事なものなのだろう。


 彼らの目的が朧気ながら掴めたところで、僕の視界の隅に何かが映り込む。

 顔を向けると、体長三メートルはあろうか、巨大な熊が少し離れた茂みの傍に伏せていた。

 獰猛そうな顔つきに、特徴的なのは殺気立った紅い瞳。

 その鋭い爪が生えた手足を使い、歓喜する兵士達に滲み寄って着々と距離を縮めていく。


「―――危ないっ!」


 考えるより先に、声が出てしまった。

 兵士達は出処不明の声に周囲を警戒し、熊と茂みの中の僕に気付く。

 そして案の定、熊はこちらを睨み、威嚇の鳴き声を上げる。


 完全にやってしまった……。

 何故自分から敵を増やす様な真似をしてしまったのか。

 え? もう、熊めっちゃ見てきてるじゃん。

 あんなでっかい熊に勝てるわけない、終わりだ……。


 心の中で現世への暇乞いをしていたが、一向に痛みがない。


 痛みも無く死んだのか……?


 恐る恐る目を開くと、何と兵士達と熊が戦っている。

 熊の攻撃を盾持ちがいなし、その隙を槍持ちが突く(槍だけに)良いコンビネーションだ。

 もしかしなくても、チャンスでは?


 こっそり茂みから抜け出し、この場を去ろうと思って兵士達に背を向けたが、後ろで何かが倒れ込む音がした。

 振り返ると、熊は意外にあっさり負けてしまっていた。


 いや弱! 見掛け倒しか!

 それとも兵士達が強いのか……?


 言葉には出さずに毒づきながらもコソコソ後退していたが、顔を見合せた兵士達に声を掛けられてしまう。


「……――、―――」


「は、はいっ」


 思わず返事してしまった。

 もう完全にバレた。

 逃げようと思えば逃げられるだろうが、脚が思うように動かない。


「あっあのですね、決して他意は無くて、ただ、森から出るのに皆さんに着いて行こうかなと……」


 外国人相手にバリバリの日本語をかましていく。

 右手の剣は目立たせないように、かといって隠しても余計怪しいだろうからちょい見せ程度にしておく。

 これが僕の考えうる限りの最善だった。


 とは言え、当然言葉が通じている様子はない。

 とにかく敵意が無いことを示さないと。

 が、その試みをする前に、盾持ちの兵士が懐に手を入れた。


 銃? 銃でも取り出すのか? やはり剣は取り繕えなかったか……。


 不吉な予感ばかりが頭を過る中、兵士が取りだしたのは、石ころだった。

修正(2024/11/16)

・どうやらベンダントのようだ→どうやらペンダントのようだ

誤字報告ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ