とりあえず信じよう
「西……、ですか?」
ダリアは頷く。
「ええ。 ご存知ありませんでしたか? 王都からほぼ真っ直ぐ西の方に街があります。 そこに彼は居ると思いますよ」
王都といえば僕が先程まで居た場所だ。
だが、それは王国の北東寄りに位置していると聞いた。
そこから南方の辺境へ赴くには、西ではなく、当然南に下る必要がある。
つまり、師匠の伝えた場所と完全に食い違っている。
師匠が嘘を言ったとは考えにくいし、そのメリットも思いつかない。
となると、どちらかの情報が古いものだという可能性がある。
もし仮に、件の召環者は西に居るとして、何故師匠でさえ知らない情報をダリアは知っているんだ?
「……なるほど。 ……疑う訳じゃないんですが、どうしてそう思うのですか?」
訊くと、ダリアは一瞬目を逸らした。
しかし、すぐに視線を戻し、
「彼とは一時期、行動を共にしていました。 少し前に袂別したのですが、なんというか、その名残で知っています」
連絡を取っているということか?
嘘を吐いているようには見えないが……。
南方に居るという情報は、去年、本人がギルドに提出した移住の届出に拠るから、直近まで一緒に居たダリアの情報の方が信頼度は高い。
それにしても、ダリアは前の召環者とも関わりがあったということか。
何か裏がある気がしないでもないが、疑い過ぎもかえって良くない。
今は取り敢えず信じておこう。
間に合わなかった




