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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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ストーキングダメ絶対

 雄大な自然の、緑溢れる森の中。


「はぁ……」


 息を呑む程の神秘的な美しさがある景色を前に、僕は鬱々と溜め息をついた。


 地上に出てから何時間経ったか。

 殆ど歩き通しだったので、疲れ具合から凡そ二時間は経っただろうが、一向に景色が変わらない。

 最初はまだ景色を楽しみながら歩いていたが、正直、もう飽き飽きだ。

 人には会わないし喉は乾くし、そもそも森から出られていない。

 小川くらい見つからないものか。

 迷わぬようにとひたすら一方向に進んでいたのが悪いのだろうか。

 というか、目が覚めてからずっと移動し続けている気がする。


「はぁ……、疲れた……」


 適当な木陰に腰を下ろし、顔を俯ける。


 今、何時だろう。 此処は何処なんだ。 後どのくらいで森を抜けれるのか。

 何一つ知れないとは、先が思いやられる。

 最悪この森で野宿も有り得るかもしれない。


 気を落としていると、何処からか人の話し声が聞こえた。

 耳を澄ますと、話の内容までは分からないが、段々こちらへ近付いて来ているのが分かった。

 安堵しかけたが、ふと自分の右手に握られているものを思い出す。


 不味い、剣なんて持っていたら危ない人だと思われる。

 手から離れない呪いのような剣のことを、どう説明しろと言うんだ。


 そうこうしているうちに、声が鮮明に聞こえる位置まで来てしまった。


(やばいっ……!)


 思わず近くの茂みに隠れてしまった。

 刃物を持って潜むなど、完全に不審者ではないか。

 今からでも誤解を防ぎに行った方がいいのか……?


 茂みから外をそっと覗いてみる。

 すると、これで助かると思っていた僕にとって、思いもよらない光景があった。

 話をしている二人組、しかしその身に纏っているのは光沢を放つ重々しい鎧。

 正式な名前は忘れたが、バケツ型のヘルム((グレートヘルム))を頭に被り、片や片手に槍を持ち、片や剣と盾を持っている。

 その時代錯誤も甚だしい装いは、通常時ならコスプレか何かと思うだろうが、ドラゴンや宝箱を見てきた僕には、()()にしか見えなかった。


 ―――兵士。

 現実に存在はするだろうが、それこそ僕にとっては関わりのない存在だ。

 戦いや武力の象徴たる彼らは決して平和的なものでは無いだろう。

 そこへ剣など持って前に出ようものなら、恐ろしい結末は目に見えている。

 咄嗟に隠れて正解だったようだ。


 それにしても、話の内容が全く分からない。

 可能性として考慮はしていたが、やはりここは日本ではないようで、兵士達の使っている言語も僕の知らないものだ。

 尚更危なかった。

 言葉も通じないのに弁明も何も無い。

 少なくとも会話すら成り立たないのでは、関わらない方がいいだろう。


 とは言え、この森に永住するつもりも無い。

 見たところ彼らは森の外から来たようだし、ついて行けば森から出られるかもしれない。


 こっそり後をつけるくらいならバレやしないだろ……。

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