私も連れて行ってもらえませんか
儚く消え入りそうな声だった。
無論、その声に聞き覚えはないが、初対面にしては質問内容に違和感がある。
確かに、このダンジョンには、普通の人は殆ど来ないと聞いている。
それでも、特殊な事情を持つ者は、なにも召環者だけでは無いだろう。
考えられるのは、このダンジョンがよほど不人気なのか。
或いは、この子の観察力が鋭く、僕を召環者と見抜いたか。
その目的は何だ?
ただぶらぶらと危険なダンジョンを彷徨っていたとは思えない。
こちらが召環者だと確定した時点で危害を加えてくる可能性もある。
どう出るのが正解か――。
あまり時間をかけるわけにもいかない。
嘘を吐いたとしても、この世界に馴染めていない内はすぐボロが出るだろう。
そう判断したので、警戒は緩めず、しかし正直に肯定する。
その子は僕が首を縦に振るのを見て、無表情ながら満足げに頷き、僕の目を覗きながら続けた。
「では、元の世界に戻りたい――、と?」
一体何なんだ、この子は。
背筋が凍える感じがする。
心を見透かされているようで、気味が悪い。
頷くまでもないんじゃないか、と思いながらも、一応首を縦に振る。
案の定、その子の予想通りの答えだったようで、次の言葉もすぐに出て来る。
「では、……私も連れて行ってもらえませんか?」
……え?
修正(22/03/01)
・召還者→召環者




