何かいる?
曲がり角の先の相手は、まだこちらに気付いていないようだが、如何せん迂回できるルートはなく、逃げ道はここまでの一本道を戻るしかない。
敵の強さが分からない以上、下手に出て行かないのが得策だ。
息を潜めて、様子を伺っていると、松明によって壁に映った影で、その風貌がぼんやりと分かった。
そこには人型の影が動いていた。
……可能性は低いが、そこに居るのがモンスターではなく、人間の場合もある。
なんでも、人間とモンスターでは魔力の質が違うらしいが、そんなもの僕に分かるわけが無い。
朧気ながら、そこに魔力があると知覚できるだけでも褒めて欲しいところだ。
そういう訳で、僕の場合、目視して確認しなければ、両者を区別するのは難しい。
となると、先手を打つのは厳しいが……。
万が一を考えて、肉眼で確認することにしよう。
モンスター相手に気付かれても、師匠が僕に選んだダンジョンなのだから危険は少ないだろう。
実際、子供でもここで命を落とすことは……、稀だと言っていた。 うん。
躊躇しながらも壁から頭を出し、その姿をとうとう目視する。
それは向こうへと歩いていたが、丁度灯りの途切れた所に居たのであまりはっきり分からない。
あれは多分……、人だろうか?
分かりにくいが、衣服は着ている感じがする。
首元に魔石があることを確認してから声を掛ける。
「あのー……」
声を上げた瞬間、それは凄まじい早さで振り向いた。
およそ人とは思えないその反応速度に、身構えざるを得なかった。
改稿(21/10/5)
・凄まじい速さ→凄まじい早さ




