初めてのダンジョン探索
石造りの無機的な通路は、車がすれ違える程の道幅があり、通行に苦はない。
日光は完全に遮られているが、等間隔で壁に灯りが設置されているため、暗すぎるということはなく、それこそあの祠よりは視界も良い。
その灯りは、一見するとただの松明だが、しばらく経っても全く燃え尽きる気配は無く、もしかすると永遠に燃え続けるのではないかと思う。
……僕は今、ダンジョンに居る。
それも、街から徒歩10分のダンジョンに、だ。
まさかこんなに近くにあるなんて夢にも思わなかった。
日帰りどころか、コンビニ感覚で訪れられる距離だが、師匠の言った通りに来てみると本当にあった。
この1週間で、街には既に多くの人々が戻ってきているが、このダンジョン内は意外にも人影が少ない。
師匠によるとここは、難易度は低いが実入りも悪いらしく、言ってしまえば初心者向けで人気がないらしい。
実際、入口の前で受付の人に入場する旨を伝えてからこの通路まで、1人としてすれ違わなかった。
ここより街寄りのところに、別のダンジョンがあったのを見掛けたのだが、こちらとは対照的に、頻繁に人の出入りがあった。
元の世界の公園レベルで点在しているのには若干引いたが、この世界では大して珍しくもないのかもしれない。
そんな不人気のダンジョンも、僕のように事情がある者には丁度よく、師匠の試験とは、ここのダンジョンの攻略。
探索を進め、ダンジョンの主ともいうべき強大なモンスターを倒してくる事が試験合格の条件……、だった筈だ。
そういう訳で現在、ダンジョンを探索中だ。
初心者向けとは言えど、想像以上に内部は広大で、思っていたより時間がかかっている。
けれど、このダンジョンは地下2階までしかないらしく、記憶力は良い方なので、マッピングも脳内だけで完結しそうだ。
しかし、祠といい、こういう建造物は何故か知らないが、得てして地下に続いている。
ダンジョンの入り口も、下に続く階段を囲っているだけだった。
この広大さなら、地下に作るのが賢明とはいえ、この無機質さと肌寒さは流石に気味が悪い……。
などと考えながら進んでいると、曲がり角の先に、何かの気配を感じた。
ダンジョン内初の、遭遇戦の予感がした。
惜しい




