魔法の多重展開
”魔法の多重展開”。
ドラゴン戦当時、師匠はそれを行っていた。
「概要は読んで字の通り、複数の魔法を同時に操る、『魔法の無詠唱』を昇華させたもんだ。 ……例を挙げるなら、俺はあの時、空中に留まって、地上に囮の幻影を生みながら、ドラゴンの注意を惹いて誘導し、拘束用の魔法を詠唱していた」
話を聞いて唖然とする。
多芸すぎるというか、なんというか……。
攻撃をいなして剣を振っていただけの僕より働いていたじゃないか。
しかし、あの手品のような光景のカラクリとしては、そのくらいあって然るべきなのかもしれない。
「風の基礎魔法で飛行、幻影はまあ……、水魔法の一種だ。 そして闇魔法でドラゴンの意識を俺に向けさせて、氷魔法で拘束したってのが実際のところだな」
ドラゴンが急に師匠を攻撃しだしたのさえ、そもそもは彼自身の策略だったというのか。
それにしたって、事前に説明くらいして欲しかった。
師匠は前もって計画していたとすれば、僕が1番肝を冷やしたことになる。
「なに、お前の実戦の様子を見て立てた攻略法だから、説明する暇がなくてな……、つーか、まさか助けに来て、しかもそれが”間に合う”なんて思わなかったわ」
さすがにそこまで薄情じゃない。
というか、師匠が怪我を負えば、こっちまで危なかったのだ。
だから必死になった僕は、基礎魔法の飛行に、ウェルテクス・エピタキンシを加えて……、あれ?
「……もしかして、僕も多重展開させていた?」
テスト期間なので少なめです(言い訳)




