地上の描写楽しい
階段はかなり長かった。
ビル八階分ほどはあったのではないか。
登り切ったという達成感と、精神と肉体の疲弊感を同時に味わう。
軽い気持ちで登り始めたが、視界が悪いのも相まって想像以上に時間がかかり、更に登れば登るほど落ちたら一大事という意識が高まって、少しづつ精神がすり減ってきていた。
それでも、かなり地上に近づいたのは確実だろう。
これでこの先が行き止まりだったら、心の一つや二つ折れそうだ。
少し進んだら、何かに突き当たった。
ドラゴンから逃げていた時の一件から学び、手を少し前に出していたので、顔面強打は起こらなかった。
壁……のようだが、今までと何かが違う。
手応えが軽いというか、堅固な感じがしない。
溝が四角に彫られていて、扉のような形になっているようだ。
試しに体重をかけて押してみたが、ビクともしない。
溝に手を掛けて引くというのも溝が細すぎて難しいし、恒例の引き戸パターンかもと思ったが横にもスライドしない。
引き返すのも勿体無く、どうしたものかと周囲を探っていたら、妙な突起が壁に認められた。
ここまで嫌になるほど平坦だった壁にしては珍しく、突起を調べていると、「カチッ」という小気味好い音とともに突起が引っ込んだ。
押してしまった後に何だが、どうやらあれはスイッチだったようだ。
扉が重々しい音を立てて、左右に開き出す。
その向こうからは、眩しいほどの光が差し込み、長いこと暗闇にいた僕は軽い目眩を覚える。
やがて目が慣れてきて、外の景色が目に入る。
「わぁっ……」
視界は緑一色となった。
青々しい草木が所狭しと立ち並び、空を覆い尽くさんとする数多の葉から零れ落ちる木漏れ日が頬をくすぐる。
時折木々の間を吹き抜ける優しい風は心地好い葉擦れの音と落ち着く自然の香りを運んでいく。
そう、ここは森だった。
「すごい……これ……」
今まで都会で過ごしてきた僕にとって、この様な風景は新鮮だった。
「にしても……ここは何処だ……?」
当然、見覚えのある場所でもない。
地上に出たら何とかなると思っていたのだが、状況は思っていたより厳しい。
地図も無ければ、土地勘も無い。
とは言え、また地下に戻るのも御免だ。
この森を抜ければ、人里にでも出るだろうか?
あ、でも剣に憑かれてるんだった……。
携帯があるか、剣が無くば幾分か楽になるというのに。
まあ、事情を話せば分かって貰えるだろう。
と、楽観的に考えて、僕は進んでいくことにした。
何よりも、あのドラゴンが怖かった。
ゲームでお馴染みとは言え、得体の知れない巨大生物に、恐怖しない方がおかしいだろう。
とにかく一刻も早くこの場所から離れたかったというのが心の内だった。
他にやることないのにやる気が出ません。




