師匠の話
「し、失礼しました。 そ、それでは必要な書類を取ってきますので、しばらくお待ちください」
そう言い残し、ギルド職員は奥の部屋に入って行った。
何となく気不味い空気の中で、静寂を破ったのは師匠だった。
「今の話は、なかった事に……と言いたい所だが、誰について話してたか、薄々分かっただろう?」
先程の気迫もあり、ただ僕は頷くしかなかった。
「そうか。 ……五年前のあいつ、もとい前の召環者は、魔剣を手放して戻って来るより先、冒険者稼業を営んでる時に洒落にならない事をしでかしたんだ」
前の召還者も冒険者だったのか。
それにしても、職員の話を止めた師匠が、何故か僕に話している。
一見行動が矛盾しているようだが……。
「話に拠れば、始末はそいつ自身で付けたらしい。 だが、失態は召環者、延いては冒険者への風評被害に繋がり……。 それから少しの間身を隠していたようだが、その数ヵ月後、前にも話した通り、変わり果てた様子でこの街に帰って来た」
どうやら魔剣だけが豹変の原因という訳では無さそうだ。
彼の口数が減ったというのは、その出来事のせいなのか……?
「勘違いしないで欲しいのは、あいつがやらかした事ってのは絶対悪だとは言い切れないんだ。 ただ、受け入れられない人も大勢居たみてえだ……」
話し手の価値観や先入観に影響されないで欲しいと思ったからこそ、師匠は自分の口から僕に話したという訳か。
何て言うか、残念だ。
少なくとも、ギルド職員は、冒険者の減少はその召環者が一因の様に言っていた……。
何で火曜日投稿なんでしょう?




