冒険者ギルド
冒険者ギルドに入ると、表から入った時とは全く違う印象を受けた。
あちらの室内は無機質で、清潔な雰囲気だった。
対して、薄暗い照明の下に木製の丸椅子と丸テーブルが立ち並んでいるこちらは、印象としては組合というよりか酒場に近い。
常時であればガラの悪い、怖い人達が屯していそうな感じだ。
もっとも、今は表側と同じく人は殆ど居ないが。
部屋を見回しながら師匠の後に着いて行き、入口から少し離れた所にある受付へ向かった。
「いらっしゃいませ――、おや、騎士団長様。 お世話になっております」
受付の職員は何か作業をしている様子だったが訪問者に気付いて、師匠に話し掛ける。
どうやら翻訳魔石のペンダントは上手く機能しているようで、一安心だ。
「おう。 そっちこそ、お勤めご苦労さん」
師匠はギルド職員よりも立場が上みたいだ。
それもそうか、彼は国を守る兵隊を纏め上げているのだから。
「本日はどのような……、ふむ、そこのお連れの方は召環者の方ですね? ということは……」
職員が僕に目を向ける。
召環者としての正体が一瞬で見抜かれた。
今は特にバレた所で困りはしないが、そんなに分かり易かっただろうか?
確かに服装は来た時のままだし、高貴な身っぽくもないのに剣を所持しているし……。
よく考えると、浮きまくってる。
「そうだ。 冒険者登録をしに来た」
師匠が用件を職員に伝えると、職員は目に見えて喜ぶ。
「それは有り難い! 近年は冒険者が減って来てますからね。 特に五年前の彼は――」
「おい」
唐突に師匠が職員の言葉を遮る。
今まで聞いたことの無い、鬼気迫る声色で、空気が凍り付く。
「その話は、やめにしないか。 あいつだって、自分から望んでいた訳じゃない」
あいつ……、五年前の彼……。
誰のことを指しているのか、朧気ながら分かりはしたが、とても話を聞ける雰囲気ではなかった。
情報を振り返るのが大変……
追記(20/12/29)
当話を多重投稿してしまいました
確認後直ぐに重複した方は削除しましたが、混乱された方が居たらごめんなさい




