それになろう
なるほど、確かに件の召環者が地上に居るとも限らない。
どうせ大したデメリットもないというのなら、冒険者になるのも悪くない……。
けれど、先の師匠の話しぶりに僅かな違和感を感じた。
まるで加入を催促しているみたいだ、と師匠に冗談めかして言うと、彼は事情を説明した。
「実は最近、この国の冒険者が減っているんだ。 巷の有名人である召環者が冒険者になったら、釣られて登録する人が増えるんじゃないかと思ってな」
困った顔で師匠は言った。
緊急時、冒険者は街の警備員として動くとのことだった。
つまるところ、その人数が、国の治安にも影響する。
治安維持の為にも冒険者の数を増やしたい、ということだろう。
それが僕にとって不都合になるとは思えないし、不本意とはいえ森の中で彷徨していた所を保護してくれた国家に、不義理な真似はしたくない。
「わかりました、登録します」
若干の葛藤はあったが、承諾を躊躇う程ではなかった。
「おお、本当か」
嬉しそうに師匠は言う。
それにしても、”ダンジョン”か……。
縁ができると言葉に現実味が増す。
それが今までは空想上のものであっただけに、不思議な気分だ。
「それじゃ、冒険者ギルドに登録しに行くか。 さっきとは入口が違うからな」
そう言って僕に背中を向け、ギルド本部の裏手に回って行った。
変な造りをしている……。
少し予定が長引いたので少なめです、申し訳ない…
修正(22/02/01)
・勧誘を躊躇う→承諾を躊躇う




