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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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ペンダント

 目が覚める。

 今は……何時だ?

 そこはかとない不安を感じていたが、いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。

 部屋には時計がない上、空は厚い雲に覆われて日は見えず、大体の時間を推し量ることも難しい。

 夜ではないようだが……、昨日寝た時間的に、明け方くらいだろうか。


 勝手に部屋を出ていいものか分からず、茫と室内を見回す。

 寝直してからはちゃんと使った、白い毛布のベッド。

 魔法のランタンを載せた円形の木製テーブルに、簡素な丸椅子。

 城内に設けられた部屋なだけあって、今の所こちらの生活は不便もなく、悪くないとは思うが、どうにも物足りない。

 こう手持ち無沙汰な時間ができると改めて痛感する。 娯楽が少ないのだ。

 本を除けば、一般に趣味の品と言えるものを見ていない。


 退屈が一番の敵になるかもしれない。

 好きなゲームの続編もまだ買えてなかったし……。

 やはり元の世界に戻る他ないな。


 下らないことを考えていると、昨朝と同じように部屋の扉が叩かれる。


「おい、起きてるか? 渡しときたいもんがあるんだが……」


 師匠の声だ。

 何だろうか。 ゲーム機であれば有難いことこの上ない。

 的外れの僅かな期待をしつつ扉を開ける。


「おはようございます」


「ん? ……ああ、お(・)は(・)よ(・)う(・)」


 師匠は予想よりずっと小さいものを持っていた。

 何処かで見た様な気がする。


「それは何ですか?」


 尋ねると師匠は、翡翠に似た石が付いている細い輪状のチェインをこちらに見せた。

 首飾り……、ペンダントか?


 そこで思い出す。

 二日前にこちらに来て間もなく、森で会った兵士たちが探していたものもペンダントだった。

 朧気な記憶だが、同じ物に見える。


「ドラゴンを討伐した召環者は、これを贈られる。 付いてるのは翻訳魔石だ。 首に掛けなくても持ってるだけで効果がある。 取っておけ、ほれ」


 礼を言って受け取る。

 大助かりだ。 すぐに元の世界に帰れるならまだしも、当分はその方法を探すことになるだろうから、言葉が通じないとなれば苦労したに違いない。

改稿(20/03/30)

天候を変更(嵐→曇)

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