ペンダント
目が覚める。
今は……何時だ?
そこはかとない不安を感じていたが、いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。
部屋には時計がない上、空は厚い雲に覆われて日は見えず、大体の時間を推し量ることも難しい。
夜ではないようだが……、昨日寝た時間的に、明け方くらいだろうか。
勝手に部屋を出ていいものか分からず、茫と室内を見回す。
寝直してからはちゃんと使った、白い毛布のベッド。
魔法のランタンを載せた円形の木製テーブルに、簡素な丸椅子。
城内に設けられた部屋なだけあって、今の所こちらの生活は不便もなく、悪くないとは思うが、どうにも物足りない。
こう手持ち無沙汰な時間ができると改めて痛感する。 娯楽が少ないのだ。
本を除けば、一般に趣味の品と言えるものを見ていない。
退屈が一番の敵になるかもしれない。
好きなゲームの続編もまだ買えてなかったし……。
やはり元の世界に戻る他ないな。
下らないことを考えていると、昨朝と同じように部屋の扉が叩かれる。
「おい、起きてるか? 渡しときたいもんがあるんだが……」
師匠の声だ。
何だろうか。 ゲーム機であれば有難いことこの上ない。
的外れの僅かな期待をしつつ扉を開ける。
「おはようございます」
「ん? ……ああ、おはよう」
師匠は予想よりずっと小さいものを持っていた。
何処かで見た様な気がする。
「それは何ですか?」
尋ねると師匠は、翡翠に似た石が付いている細い輪状のチェインをこちらに見せた。
首飾り……、ペンダントか?
そこで思い出す。
二日前にこちらに来て間もなく、森で会った兵士たちが探していたものもペンダントだった。
朧気な記憶だが、同じ物に見える。
「ドラゴンを討伐した召環者は、これを贈られる。 付いてるのは翻訳魔石だ。 首に掛けなくても持ってるだけで効果がある。 取っておけ、ほれ」
礼を言って受け取る。
大助かりだ。 すぐに元の世界に帰れるならまだしも、当分はその方法を探すことになるだろうから、言葉が通じないとなれば苦労したに違いない。
改稿(20/03/30)
天候を変更(嵐→曇)




