すごい大声で喋ってる
師匠は上空に姿を現して、こちらに声を掛けた。
度肝を抜かれた気分だ。
一体いつの間にあんな所へ?
彼はつい先程まで地上に、無防備に立っていた筈だ。
何らかの手段で飛んだのかと思ったが、急に高高度に上がるというのは身体への負担が大きく、考えにくい。
そもそも、魔法の構築中にそんな所作が可能なんて聞いていない。
つまり、少し前から空中に居たと考えるのが自然なのだが……。
夢でも見ていたのだろうか。
すぐそこにドラゴンがいるのも忘れ、呆気に取られていると、師匠が徐に口を開いた。
「話したい事もあるが、今はまあいい。 それよりもお前のおかげで無事構築できた――。 氷魔法『ジェロ・アリシーダ』。 さあ、トドメをさせ!」
詠唱の後、ドラゴンの方へ何本かの半透明な巨大な鎖が放たれ、その巨体に巻き付いた。
ドラゴンはそれを振りほどこうと藻掻くが、手負いの今では充分な力が出せないのか、より絡まっていくばかりだ。
一方の師匠は、その鎖を維持するのに精一杯らしく、鎖で繋がれているドラゴンを静かに見据えている。
未だ状況が呑み込み切れないが、師匠は無事で、今が絶好のチャンスという事には変わりない。
気怠さと眠気を振り払い、微かに残った気力を振り絞り意識を研ぎ澄ます。
……よし、再度風魔法が発動した。
辛うじて浮くことは出来たが、この感じでは長く持たないだろう。
恐らくこれが最後。
もう意識を失う寸前だ。
師匠の言葉通り、これで倒しきる他ない。
「……ウェルテクス・エピタキンシ」
半ば自棄になって魔法を唱え、ドラゴンへ突撃する。
抵抗する力も無くなったのかしっと佇んではいるが、それでも尚、鋭い隻眼の眼差しが僕を突き刺す。
だが、もう物怖じすることは無い。
空中で姿勢を整えながら、狙いをつける。
「ヴォア゙ア゙ァ――――!」
最初に出会った時と同じく、こちらを脅かそうと咆哮しているのが分かる。
けれど、今は立場が逆だった。
「負けるかぁああーー!!」
中途半端に区切りたくないので短めで失礼します(次回は長いとは言ってない)




