誰のせいで
数秒の沈黙の後、アスピダは肩を震わせた。
「お兄さんにこの話をしたのは、他でもありません。 ソフィアちゃんに、もうあたしに関わらないよう伝えてほしいんです」
ソフィアは、僕だけでなくアスピダをも自らのパーティに引き入れようとしている。
順番こそ後だったが、ついでに誘ったようには見えなかった。 むしろ……
「碌に口も利かなくなって、いきなり出て行ったあたしのことを、ソフィアちゃんは怒ったり疑ったりしないで……、今でも、慕ってくれていました」
アスピダは、そのことを懺悔するかのように、――或いは、ソフィアに謝るように顔を伏せた。
「――そんな優しい子を信じられないあたしに、一緒に居る資格は無いんです」
震えた声で、彼女なりの判決を自分に言い聞かすように陳述するアスピダ。
僕はその判決を、否定することも、肯定することもしない。
僕はソフィアではないし、ましてやアスピダでもないのだ。
その沈黙をどう捉えたのか定かではないが、アスピダは覚悟した様子で続けた。
「……あたしはパーティを抜けようと思います。 お兄さんとダリアちゃんに、あたしの都合でこれ以上迷惑は掛けられません」
迷惑? そもそも、迷惑なんて掛けられた覚えが無いが……。
もしベルフィアに着いてからの挙動不審のことを言っているのなら、彼女に責は無い。
あるはずも無い。
「きっとあたしは、この国じゃなくても、お二人の足を引っ張ってしまいます。 気付いてるかもしれませんが、あたし、戦闘になるとどうしても――、焦ってしまうんです」
……思い当たる節が無いわけではない。
特に顕著だったのが、出会った当時の頃。
モンスターに一人で突っ込んでいたのは、彼女が焦燥感に駆り立てられていたからなのか。
それでも、最初と比べればかなり抑えられていると思うが。
「だから、あたしはもう――」
その言葉の先を読み、止めようとした時。
僕ではなく、代わりに聞き馴染みのある声が彼女を呼び止めた。
更新延期・遅刻で大変お待たせしました…
数話分の展開はある程度構成できたので、次回からもうちょっと早く出せるはずです(多分)




