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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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ドラゴン戦前夜

「迷宮(ダンジョン)……ですか?」


「おうよ」


 何だか、訝しむというより、段々と楽しくなってきた。


「稀に内部構造が変わったり、定期的にモンスターや宝箱が再配置されて、ボスが出現したり……?」


 僕の勝手な迷宮(ダンジョン)のイメージを列挙した。


「よく知ってんな。 お前の世界にそういうのは無いと思ってたが……」


 合ってんのかい。

 ゲームや小説なんかじゃよくある設定だと思うが、それを言うのも少し野暮な気がしたので、


「似たものがあったんです」


 とだけ言っておいた。


「まあ、迷宮(ダンジョン)で取れる素材は、迷宮外で採れるものと同様に需要があるからな。 命を落とす事もあるが、それでも一攫千金の夢に憑かれて迷宮(ダンジョン)探索を生業とするやつも多いんだ」


 そういう意味では、一次産業みたいなものか。

 しかし知れば知るほど奇妙な世界だ。

 つい昨日までの空想を、次々と目の当たりにしている。

 こんな世界が在ればなと、思ったことがない訳じゃないが……。


「そんじゃ、話をする元気もあるようだし、休憩も終わりにすっか。 後半の練習メニューは、手始めに鍛錬場十周だ!」


 しまった、自分で自分の首を絞めていた。

 もう少し休んでいたいが、言ったところで彼は聞く耳を持たないだろう。



 大分日が傾き、辺りも暗くなり始めていた。

 鍛錬場に居た兵士らも、いつの間にかその殆どが姿を消していて、残っているのは数人くらいだ。


「……そろそろ潮時だな。 予定の八割くらいしか終わってないが、まあいい、想定内だ」


 両足を縄で縛られた状態で男の攻撃を避けさせられていた僕に、その言葉は意外だった。


「え、もう終わりですか?」


 てっきり日が暮れても続けると思っていた。


「なんだ? まだまだ足りねえってか?」


「違います」


 危ない。 言葉を選び損ねるとすぐこれだ。


「……冗談だ。 鍛錬は無論まだ必要だが、散々動いた分、疲れを取るのも大事だ」


 確かに男の言う通りだ。

 そもそも、ドラゴンとの決戦は明日なのだ。

 鍛錬をし過ぎて疲労困憊の状態で戦うとなれば、それこそ勝ち目はないだろう。


「てな訳で、今日のところはお終いだ。 城の客室まで案内してやる」


 男は鍛錬場の出口に向かいながらこちらへ手招きした。

 急ぎ向かおうとするが、程なくして転倒する。


「足の縄、解いてくださいよ!」



 城内の広い廊下を、応接間とは逆の方に曲がった先にある部屋に僕は通された。

 大きめのベッドに、タンスやテーブル等、最低限の家具が揃っており、どれも高価そうである。


「んじゃ、今日はここに泊まってくれや。 後で食事を運んでくる」


 至れり尽くせりだ。 疲れすぎて身体を動かすのも億劫なので助かった。


「マローガ・ドラコ(邪炎竜)が現れるのは恐らく明日正午と推測される。 それまでに、軽くだが鍛錬と、幾つかの技術を教える。 しっかり休んどけよ」


 やはり明日も鍛錬はあるのか。 それどころか、本番さえ……。

鍛錬場一周は300mくらいを意識しています。

それより、台詞が前言ったことと被っていたらお見逃しください……。

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