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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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僕がドラゴンを倒す理由

「土魔法『テッラ・パイモス』!」


 相変わらず僕が唱えども何も起きない。

 嘆く様な目を男に向けてみる。


「いやそんな目ぇされてもよ……、俺だって、魔法のスペシャリストって訳じゃないんだぜ?」


 やはりどうにもならないらしい。


「あくまで俺が思っただけだが、もしかしたらお前、一切魔法素質(センス)ねえんじゃねえか? 火も土も全く出来ねえとか、俺も初めて見たわ」


 やけに男の言葉が(つら)く感じる。

 すぐそこで起こされている奇跡を、僕も使いたいという思いが湧いてしょうがない。


「しっかし、魔法が使えねえとなると、勝率が大分落ちるな。 他の奴らに魔法を掛けてもらうってことも出来るっちゃ出来るんだが……」


 それなら最初からそうすれば良かったのでは?


「それでも召環者の魔法の方が基本的に強力だから、召環者本人が自分に掛けるのが恒例なんだよな」


 召環者、優遇されすぎじゃないか?

 別世界から来たクセしてここの世界の人より強い魔法を使うとか、何らかの力が働いているとしか思えない。

 まあ、そういうのはゲームとかだとよくある事だ。 僕にはその力働いてないし、そもそもゲームですらないが。


「うっし、使えないなら使えないで割り切るとすっか。 その分、剣技とか身のこなしでカバーするしかねえな」


 魔法を使ってみたい僕としてはもう少し粘ってくれても良かったのだが……。


「魔法訓練はこれでひとまず修了だ。 一つだけ、質問に答えてやろう」


 そうだった。 そもそも”何故僕はドラゴンを倒さなくてはならない”んだ。

 魔法がやたら魅力的に映ったせいで、そもそもの疑問を完全に忘れていた。

 もしかして僕を生贄にドラゴンと相討ちさせようとでも……

「お前がドラゴンを倒す理由。 それは、()()にしか倒せねえからだ」


 予想を遥かに超えて不条理だった。

 虚言にしては適当すぎる。


「お前にしか倒せねえってのは実力的な話じゃねえ。 第一、お前なんかより強え奴はこの世界だけでも()()()()()()


 ならば一体何故だと言うのか。


「あのドラゴンは……、『悪炎竜(マローガドラコ)』は()()()()()()()()()()()()()()のみ()()()()()んだ」


 ……どういうことだ?

『召環者に呼ばれ』、だって?


「召環者がこの世界に来て祠の中に生まれる度にあいつは現れる。 原理も理由も分かってねえが、確実にだ」


「……つまり、あのドラゴンは、僕のせいで出てきたんですか……?」


「……まあ、あの個体に関しては、そういうことになるな」


 唖然とする僕を尻目に、敢えて男はそのまま続けた。


「あいつには同期した召環者以外の攻撃が殆ど効かない。 召環者への強化魔法とか一部の攻撃魔法は有効だが……、それでも部外者があいつを討つってのはほぼ不可能だ」


 もう、特異性が不思議を通り越して胡散臭い。


「そしてここからが問題で、召環者の出現からある程度経っても倒されずにいると、お前も見たように、あいつは自動発動の転移魔法で地上に出てきちまう。 それは召環者が死亡しても同じことだった。 ……そして、祠を含め、目に付くもの全てを破壊し出す」


 はた迷惑な話だ。 こちとらこの世界に来て間も無いと言うのに。


「記録の残る限り今まで何十回とあったみてえだが、最後にそれが起こったのは俺がガキの頃だから、もう数十年前になるな。 あの時はどうやってドラゴンを止めたか知らねえが、もうあんな惨劇、これ以上繰り返しちゃならねえ」



 男は珍しく、それから多くの事を話した。

 ”祠が破壊されると、新たな場所に祠ができる”ということ。

 ――そんなポンポン生えてくるようなものなのかと、不気味に思った。

 ”ドラゴンが転移魔法により消失してから、再出現まで1日のタイムラグがある”こと。

 ――丁度消えてくれたおかげでさっき僕は助かったということか。

 ”召環者は5年毎に現れ、その30日前には必ず大きな地震が起きる”こと。

 ――聞けば月日の単位は元の世界とほぼ一緒らしい。 召環者も意外と多く来るようだ。


「そういや、ドラゴン討伐のタイムリミットは3日間だったが、お前を見るのは今日が初めてだな。 今まで、何処に行ってたんだ?」


「えっ? 僕は今日この世界に来た筈ですが」


 幾ら祠内が地下とはいえ、目覚めてから地上に出るまで体感で2時間ちょっと程度だった。

 森で兵士にあったのもちょっと前だし、2日も経ったはずがない。


「マジか? まあ、あの祠もまだ謎が多いしな……」


 そういって男は息を吐いた。


「うし、粗方教えたか? 十分休憩もとったし、魔法部分をカバーするため、まずは素振り千回だ!」

区切りをつけあぐねていつもの倍くらいになってしまいました。


改稿(20/06/30)

・一部の傍点を削除

・男のドラゴンについての言及を一文追加

(20/07/14)

・主人公の魔法詠唱のルビを削除

(20/07/27)

マローガドラコ→悪炎竜とし、ルビを逆に変更

修正(25/12/21)

・数字の表記を修正

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