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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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不発

 静寂が訪れる。

 僕も男も僕の掌に注目していたが、特に変化も起きない。

 あんなに大仰にやっといて何も起きないのでは、醜態もいいところだ。


「――出ませんね、炎……」


 沈黙に耐えきれず口を開く。


「お、おう。 俺も今のでいいと思ったんだがな……」


 ならば何がダメだったのか。

 やはり魔法を扱うのは一筋縄では行かないという事なのか。


「ひょっとすると『属性相性』が良くないのかもしれねえな」


 ”属性”?

 またそれっぽいのが出てきた。


「えっと、つまり?」


「お前に炎属性の魔法の素質がないってこった。 しっかし、大体の奴らは上手いって訳じゃねえが使えるもんなんだがな……」


 なんじゃそりゃ。

 別に使いたい訳では無いが、こういう設定はゲーマーとして興味が湧く。


「素質がないって……、生まれ持った才能みたいな感じですか?」


 こういう世界観にありがちの、『個人の属性』的なのを想像した。


「んー、まあ、大体そうだ。 後天的に素質を伸ばす方法も無い訳では無いが……、今は時間がねえな」


 やっぱりそういうやつか。

 非現実的な話だが、ゲームっぽい設定に思わず胸が高鳴ってしまう。


「んじゃ、別の属性でも試してみっか。 俺は炎以外の基礎魔法は二種類しか素質がねえから、いくつかは手本を見せれねえがな」


 炎以外に二種類……。 一個人が持つにしては多めに聞こえる。

 大体こういうのは一人一種類と相場が決まっていそうだが……。

 もしかしてこの男、適当な割に実は凄いやつでは?


「別の属性って、どのくらいあるんですか?」


 男は即答した。


「聞いた話によると、確か今は(10)とちょっとくらいだったはずだぞ」


 意外に種類はあるようだ。

 まあ、ゲームによっては()()の様に似たり寄ったりのものを別に数える場合もあるから、この世界もそういう感じなのかもしれない。


 ゲームをしていた()()()と言うべきか、思いの外この世界のことをすんなり呑み込めている。

 とはいえここが現実とは思えない。 まるで意識がはっきりした夢の中を彷徨(さまよ)っているかのようだ。


「そいじゃ、今度は土属性のやってみっか。 炎属性が使えねえやつって、こっちは得意なのが多いんだ。


 成る程、土属性が得意だから炎属性が疎かになる……、という感じか。

 しかしそれなら、干渉することがある属性を三種類も持ってるというのは、やはり只者では無さそうだ。

 けれど、僕みたいな”召環者”を今まで何人も鍛えてきた人材だからこそなのかもしれない。


「まずは手本を見せよう。 土魔法『テッラ・パイモス(大地脈動)』」


 言うと同時に、彼の周りの地面が円上に盛り上がり、腰ほどの高さまで土が隆起した。


「見たか? 言っておくが今までと同じく種も仕掛けもねえ。 これが魔法ってやつなんだぜ」

魔法の名前考えてたら三十分経ってました。

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