天職
「何と言いますか、具体的な用法はまだ思い付かないんですが、私がいま研究していることに応用できそうな気がするんですよね……」
困ったような顔を見せながら、ダリアはその心中を明かした。
研究と言ったが……、彼女は研究職に就いていたのか。
何だか、詳しい事情も知らずに勝手に思うのも失礼な話だが、天職なのではないかと思う。
何より振る舞いが丁寧だし、大胆なようで細かな所にも抜け目が無い。
そういう意味では彼女が研究者ということにも納得が行く。
それにしても、何処に保管するつもりなのだろう。
部屋に置いておくにしろ、占める空間が大きすぎて存在感がすごいし、持て余す気がする。
城の客室に住ませてもらってる身でも、部屋に置くのは一瞬躊躇したくらいだ。
そして、ダリアは研究を行っているというのは分かったが、どこに住んでいるのかとか、何故僕と行動を共にしているのかなど、知らないことはまだまだ多い。
もっとも、こちらから無理に詮索するつもりもないし、今は知らなくても問題は無いように思う。
「では、引き続き頑張ってください。 また明日会いましょうね」
ダリアが乗り込んだ馬車の中から手を振ったので、こちらも振り返す。
魔石も共に載せて、これから彼女は帰路に就くようだ。
僕はというと、もう少しだけこのダンジョンで特訓するつもりだ。
奥まで行くと危険なので、入ってすぐの比較的安全な場所で剣技と魔法を練習する程度だが。
今日のダンジョン攻略は、ダリアの実力に因る所が大きかった。
いつまでも頼りっぱなしでいる訳には行かないだろう。 少しでも彼女に追いつくため、僕はまだダンジョンに残る。
追記(22/8/2)
・色々あって執筆に全く集中できなかったため、例外的ですが300字程度の追加を行いました。
ダリアが馬車から話しかけるところから増やしましたのでよろしくお願いします。




