訓練終了
「俺はこれから一旦城に戻るが……、お前はどうするんだ? もう日も暮れちまいそうだが」
気付けば、日は既に傾いて、遠くに見える森の向こうに沈みかかっていた。
辺りも少しづつ暗くなってきていて、先程のダンジョンでの戦闘を想起させる。
道行く人の流れも、ダンジョンに向かって行くよりは、通りの一等地にあるこの辺りで一番大きな宿屋に入って行くか、街の方へと帰路に就く方が多くなっていた。
いつもなら僕も、未だにお世話になっている城の客室へと帰ることを考える時間だ。
しかし、今日に限っては、まだ帰るわけにはいかない。
「いえ、もう少し自分でも練習してから帰ろうと思います。 鍛えたい魔法があるんです」
もちろんこれは出任せだ。
ただ、鍛えたい魔法があるというのはあながち嘘ではない。
この場に残る口実は何でも良かったのだが、やはり心のどこかでは、虚言ばかり繰り返すことに嫌気が差したらしい。
「おお、そうか、わかった。 ずいぶん熱心じゃないか。 無理だけはしないようにな」
了承も得られたので、その場で師匠と別れの挨拶を交わす。
通りから師匠の姿が見えなくなるまで見送った後、魔石と変装で悪目立ちするのを嫌って場所を変えていたダリアと合流する。
「……はあ、生きた心地がしませんでした」
周囲に人がほとんど居ないのも手伝ってか、珍しくダリアが弱音を吐く。
変装していたとはいえ、正体に勘づかれやしないかと、相当のプレッシャーがかかっていたのだろう。
「原因の一つはこれですけどね……」
ダリアが足元の魔石に視線を落とす。
相変わらず不自然な大きさだ。
魔石に向けた非難の目は段々と訝しむそれへと変化していった。
「本来、魔素飽和を起こしたとしても、魔石が元と比べてここまで大きくなることは極めて珍しいことなんです。 あのスライムの時は偶然かと思いましたが、この短期間で二度も異常な大きさの魔石が発生したとなると……」
そこでダリアは言葉を詰まらせた。




