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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第三章 中級冒険者『アスピダ』
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謝辞

「……おい、なんだ、ありゃ?」


 通りの向こう、ローブを纏って一人佇む少女に師匠は気付く。

 道行く人々も、心做しか彼女の傍を通ることを避けている気がする。

 それほどまでに異質だったのだ。 少女の頭身に全く釣り合わない、あまりにも大きな魔石が。


 僕は一呼吸おいて、説明を挟む。


「ええと、実は、ダンジョンの探索を進めて、主が居る部屋に入ると、そいつが魔素飽和を起こしていまして……、危なかったところを、偶然部屋の前を通りかかったそこの方に助けてもらったんです」


 自分の話をしていると気付いたのだろう、ダリアがこちらに軽く会釈した。

 無論、声を出すことはない。 そのための変装だ。

 師匠は唖然としている。 会釈を返すことすらも忘れているようだ。

 魔素飽和自体が長い年月を要する、珍しい現象だとされているから、人気(ひとけ)の多いこのダンジョンで起こるとは思いもしなかったのだろう。

 そこに関して言えば、僕も違和感を感じるが……、今は考えても仕方のないことか。


 少しして我に返った師匠が、通りを横断し、ローブとフードを着込んだダリアに謝辞を述べる。

 一国の騎士団長が、身分も分からない怪しげなフードの少女に感謝している光景は、傍から見ても異様な光景だ。


 一方、ダリアの方は顔を見せるわけにも、声を出すわけにもいかないので、謝辞に応えるのに苦労している様子だ。


 一頻り少女に礼を言った師匠は、僕が立っている場所まで戻ると、今度は僕に謝辞を述べ始める。


「本当にすまなかった! まさかこのダンジョンのモンスターが、それも主が魔素飽和なんかを起こすのは予想外だった。 危ない目に遭わせてすまない。 今度から必ず注意する」


 それは、先程までの”感謝”ではなく、”謝罪”としてのものだった。

修正(22/6/28)

・”謝罪”のもの

→”謝罪”としてのもの

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