地上への帰還
地上に戻ると、ダンジョンの入り口から続く広い通りを少し歩いたところにある、そこそこ大きい飲食店で師匠が食事を取っているのを見付けた。
声は掛けずに、活気のある通りの傍らで師匠が出てくるのを待つ。
ダンジョンには必然的に冒険者が集まる。
これまでの小規模なダンジョンはその限りではないが、人気の多いここのようなダンジョンの周辺では、冒険の必需品を売る店や、酒場などの飲食店なんかが、商売の匂いを嗅ぎつけて場所を奪い合うそうだ。
「よお、今回ばかりは”難無く踏破!” ――って訳には行かなかったみたいだな。 まあ、それでも普通より大分早えんだがな」
少しして、食事を取り終え、店の外に出てきた師匠が僕に気付いた。
いつの間にか、日は既に登りきっている。
今日の訓練を始めたのが午前、朝くらいのことだったから、それから実に五、六時間が経ったようだ。
ダンジョン巡りの分を差し引いても、ここのダンジョンだけで四時間ほど使ったことになる。
ダンジョンの規模が変わるだけで、こんなにも手こずるとは……。 正直、これまで小規模なものばかりだったのもあって、ダンジョン自体を舐めていた。
それでも標準よりは早い方だと師匠は言うが……、それは彼女の協力があったのが大きいだろう。
後ろに目をやる。
大通りを挟んだ向かい側、往来する人々の間に、深くフードを被り、ローブを身に纏う少女が認められた。
その傍には、少女の膝元まで届くような大きな魔石がずっしりと置かれている。
……言うまでもない。 その少女はダリアだ。
協力して地上まで魔石を運び出した後、何処からかローブを取り出し、僕が師匠を探す前に身に付けたのだ。
さながら御伽噺の魔導師のような風貌をしている。 いや、本当に魔法は使えるのだが……。
とにかく、その変装で以て、師匠の前に姿を現すことを可としたのだ。
今回の魔石は本当に、――本当に、でかい。
一般に魔石の大きさはモンスターの魔力量、いわば強さに比例する。
巨大スライムの時は何とかなったが、今回ばかりは僕が単独で倒したと言うのは無理がある。
だから、僕と共闘した第三者というのを、ダリアが演じることになったのだ。
投稿した瞬間に時刻が21:01になってかなり焦りました。
ギリギリになってから焦る悪習は断ちたいものですね…
改稿(22/6/27)
・幾つかの不自然な文を校正。 また、描写をより詳しくした部分があります。




