激闘の末に
何度か剣を振り続けていると、ようやく空間に自然な明るさが戻った。
それと同時に、既に僕によって何度も斬り刻まれ、人の形状を保てなくなった暗雲は
宙に浮き、高度を上げ始める。
逃走しようとしているのか? 見苦しいとは思わないが……、こっちだってもう、逃すわけにはいかない。
「『ミコ・ディアペルノ』」
いつの間にか魔法が使えるようになったことに、一足早く気付いていたダリアが、地から離れた暗雲に向かって細い光線を放つ。
先刻の魔法を使わないのは、命中率よりも射程を優先させたからだろう。
実際、上空に逃げ出した暗雲はその初撃を回避するため、逃走を中断せざるを得なかった。
もう変形する余力も残っていないのだろうか、戦闘開始時にダリアが放ったときとは違い、単に素早く横方向に飛ぶことで光線の軌道上から逸れた。
辛うじて、という感じだが、この魔法が避けられること自体が稀なのだ。 敵の俊敏性は賞賛に値するだろう。
――ただ、一方的に視界を奪う暗闇も、反撃する程の余力も敵には残っていない。
ならば、やることは一つ。
「「『ミコ・ディアペルノ』」」
二人の声が重なる。
当たらないのなら、当たるまで手数を増やせばいい。
僕とダリアで交互に詠唱を繰り返す。
数多の光線が飛び交い、時には敵を直接狙い、時には敵の避ける先の空間を狙う。
その全てを避けることは如何に俊敏な敵だとしても不可能に近かった。
程なくして、一本の光線が敵の中心を貫く。
それに追随するかの如く、ふらついた敵に無数の別の光線が容赦なく襲いかかる。
光が一点に収束して火力は際限なく高まり、文字通りそれは、敵を消滅させた。
「はあ、はあ……、終わった?」
詠唱を続けて限界に近かった僕は、両足で身体を支えきれず尻餅をつく。
流石のダリアにも疲労の色が見え、彼女は床に腰を下ろしていた。
暗雲の飛んでいた辺りの地面には、大きな魔石だけが独り残っていた。
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